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2021.04

  • 中国
  • 次世代ICT
デジタル通貨の試験運用エリアが拡大
中国におけるデジタル通貨(Digital Currency Electronic Payment:DCEP)の試験運用エリアとして、2020年8月に商務部によって公表された「サービス貿易の革新発展試行の全面的深化に関する全体プラン」では、北京・天津・河北、長江デルタ、粤港澳大湾区(広州、仏山、肇慶、深セン、東莞、恵州、珠海、中山、江門の9市、及び香港・マカオの両特別行政区によって構成される都市圏)、及び中・西部の条件を満たしたエリアが指定されていた。このうち、広東省深セン市、四川省成都市、江蘇省蘇州市、河北省雄安新区、及び2022年北京冬季五輪の会場の五つのエリアでは先行的に実施し、その後状況を見ながらエリアを拡大していくとしたところ、同年10月以降、上海市、海南省、湖南省長沙市、陝西省西安市、山東省青島市、遼寧省大連市の6地域も新たに追加された。

DCEPの試行における通常の研究開発テストの一環として、中国人民銀行デジタル通貨研究所と香港金融管理局は先ごろ、大陸と香港間のDCEPのクロスボーダー取引に関する技術テストを行った。このほか、国内では、既に複数の地域において実証実験が行われており、テストシーンが増々豊富になっている。また、国際決済銀行(BIS)香港イノベーションセンターのサポートを受け、人民銀行デジタル通貨研究所と香港金融管理局、タイ銀行(中央銀行)、UAE中央銀行が共同で「多国間中央銀行デジタル通貨ブリッジ」に関する研究プロジェクト(m-CBDC Bridge)を開始した。その目的は、ブロックチェーン技術に基づく中央銀行デジタル通貨(CBDC)間クロスボーダー取引の24時間対応同時決済、すなわちPVP決済(多通貨同時決済)の実現を模索することにある。

なお、DCEPプロジェクトは、中国人民銀行が先頭に立ち、中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行の四大国有商業銀行、及び中国移動、中国電信、中国聯通の三大通信事業者が共同参画し、2014年から進められてきたものである。2020年5月、中国人民銀行(中央銀行)総裁易綱氏はDCEPの基本設計が完成しており、システムの安定性や性能を検証するための一環であると述べ、正式な発行時期に関する具体的なスケジュールはないとした。