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2020.08

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アップルのApp Store手数料巡り不満相次ぐ
アップルは、iPhoneで使用するアプリの配信や課金には自社「App Store」を使うことを義務付けている。アプリ開発者は、App Storeでアプリを販売したりアプリ内課金が発生したりした場合に、売上の30%を手数料としてアップルに支払わなければならない。

30%の手数料は一部で「アップル税」とも批判されてきたが、3億5,000万人以上が登録しているとされる人気オンラインゲーム「フォートナイト」の開発元であるエピック・ゲームズが、8月13日、反旗を翻した。ユーザがApp Storeを介さずにフォートナイト用アイテムを直接購入できる独自の決済システム「V-Bucks」の提供を開始し、V-Bucks利用者には20%の割引を適用したのである。アップルは、V-BucksがApp Storeの規約に違反するとして、数時間後にフォートナイトをApp Storeから削除したが、エピック・ゲームズもすぐさま同社への提訴に踏み切り、カリフォルニア州北部地区の連邦地裁にアップルの反競争的慣行を差し止めるよう求めた。更に、翌17日にも再び訴えを起こし、アップルに「報復」をやめるよう求めた。

連邦地裁は、8月24日、アップルの規約に適合しない限りフォートナイトがApp Storeで配信されることはないとしつつも、アップルがエピック・ゲームズの開発者アカウントを全停止して、iOSやMac開発ソフトウェアにアクセスできないようにしたのはやり過ぎと判断し、開発ツールへのアクセス維持を命じる仮差し止め命令を出している。次回審理は9月28日に開催される予定である。

エピック・ゲームズの反撃をきっかけに、アップルへの不満を表明する動きが広まりつつある。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト等が加盟するデジタル・コンテンツ・ネクスト(DCN)は、アップルのティム・クックCEOに書簡を送付。同社がアマゾンの手数料を15%に減額して優遇していると指摘し、減額の条件を明確にするとともに、App Store利用条件を改善することを求めた。また、フェイスブックは、中小企業がスマートフォンで有料オンラインイベントを開催できるシステムの提供を開始した際に、中小企業の収入を増やそうとアップルに手数料の減額を求めたところ、同社がこれを拒否したことを明らかにしている。

一方、アップルはこうした要求には応じない構えで、アプリ配信やアプリ内課金をApp Store経由に限定することはユーザの安全確保に繋がると主張している。なお、App Storeの独占性については、7月29日に開催された下院司法委員会公聴会でも議論されたが、クックCEOはApp Storeの規約はすべての開発者に平等に適用すると説明していた。