[HTML]
H1

詳細ページ

お知らせ表示

2020.07

  • 国際
  • セキュリティ、プライバシー
各国でTikTok使用禁止の検討進む、個人情報の対中流出を警戒
中国の大手IT企業バイトダンスが手掛ける動画投稿アプリ「TikTok」の使用禁止を検討する動きが各国で広がりつつある。TikTokは中国本土外でのみ利用できるアプリで、2016年に提供が開始された。若者層を中心に世界中で人気を集めており、ユーザ数は8億人に上ると推計される。

TikTokの使用を最初に禁止したのは、国境紛争で中国との緊張感が高まるインドであった。インド情報技術省は6月29日、同国の主権や一体性、国防、安全保障、社会秩序が脅かされるとして、TikTokを含む59の中国製アプリの使用を禁止することを発表している。

米国では、マイク・ポンペオ国務長官が7月6日に、米国内でのTikTok使用禁止を検討していることを明らかにした。米国政府は既に安全保障上の理由からファーウェイやZTEを排除しているが、TikTokについても、ユーザの個人情報が中国政府に漏洩する恐れがあるとの懸念を示している。同月21日には下院で、政府支給端末へのTikTokのダウンロードを禁止する条項を含む「2021年会計年度国防授権法案」が可決され、翌22日には上院国土安全保障・政府問題委員会で、政府支給端末でのTikTokダウンロードを禁ずる法案が全会一致で可決された。また、大統領選挙まであと100日となる中、民主党全国委員会と共和党全国委員会はともに、選挙スタッフに対して個人端末でのTikTok使用を差し控えるよう要請している。

このほか、オーストラリア政府もTikTokの禁止を検討していると見られている。シドニー・モーニング・ヘラルド紙にTikTokへの懸念について質問されたクリスチャン・ポーター内務大臣兼検事総長は、アプリ名の言及は避けつつも、「政府はソーシャルメディアが情報操作のツールとして利用される危険性を認識しており、国内外の機関と連携して、ソーシャルメディア上でのデマなど、第3国による内政干渉への対応を強化している」と発言している。

このような動きに対し、TikTokは7月7日に「香港国家安全維持法」施行を受けて香港市場から撤退することを表明、9日には「透明性レポート」を発表、29日にはソフトウェア・コード開示の意向を表明するなど、中国色の払拭やユーザ保護の姿勢をアピールしている。また、8月2日にはマイクロソフトがバイトダンスとTikTok買収について協議を継続していることを明らかにした。今後、各国政府がTikTokと中国政府の関係性をどう評価するのかが注目される。