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2020.07

  • フィリピン
  • 放送・メディア
大手地上波放送局ABS-CBNの停波
フィリピン大手の地上波ネットワークABS-CBNは、2020年5月5日に42のTV局と10のデジタル放送チャンネル、23のラジオ局の放送を停止した。この措置に対し、報道の自由を阻害するものとして、国内にとどまらない議論が行われ、仮免許の交付等、様々な議論を行ってきたが、7月10日に下院は免許更新申請を却下した。フィリピンにおいて、放送免許の更新が認められなかったのは、1972年のマルコス大統領による戒厳令下での事例以来ということである。

直接の放送停止の原因は、5月5日の放送免許の失効によるもので、議会が更新免許を付与せず、フィリピン電気通信委員会が放送の停止を命令した。COVID-19蔓延の影響を受けて審議時間が短いことに対して、議案が多すぎるために多くの案件が積み残しになっていたという理由から、この件に関し下院を中心に集中的な審議を行い、いったんの結論を得た。

ABS-CBNは、マニラ中心のメディアとの対立を続けるミンダナオ出身の現大統領および政権への批判的な報道で知られ、大統領も免許を更新しない可能性について言及したことがある。しかし、免許更新に反対票を投じた議員は、今回の決定は「報道の自由」に関する判断ではなく、局の最大株主Eugenio Lopez III氏が米国との二重国籍であることや海外からの投資を受け入れている疑惑を憲法違反であるとして、免許の交付を認めなかった。

一方で野党議員や一部のメディアは、大統領と与党に対する批判を強めている。