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2020.05

  • アメリカ
  • セキュリティ、プライバシー
トランプ政権、対ファーウェイ規制強化で脱中国依存を加速
トランプ政権が中国通信機器大手ファーウェイへの制裁措置を強化している。5月13日には、昨年5月に発令した、米国企業が国家安全保障上のリスクが高い外国製通信機器を調達することを禁じる大統領令の効力を1年間延長し、15日には、米国製の機器やソフトウェア、技術を使って製造された半導体チップをファーウェイに販売することを禁止する新規則を発表した。ファーウェイへの製品供給継続を望む米国企業は、政府にライセンスを申請することができるが、政府は原則申請を却下する方針だという。

更に、商務省は、13日の大統領令延長を受けて、米国企業によるファーウェイとの一時的取引を認める免許を90日間延長することを発表したが、これが最後の延長になると警告している。商務省は昨年5月にファーウェイを米国製品の輸出が禁止される企業・団体の「エンティティリスト」に追加したが、同社はその後も、米国製技術を用いて半導体製品を製造したり、米国製機器を使う外国工場から半導体製品を調達したりしていた。商務省は、この状況が国家安全保障とエンティティリストの外交政策上の目的を損ねていると説明している。

今回の一連の動きは、アップル等の半導体チップを製造する台湾TSMCが14日に、アリゾナ州に120億ドルの工場を建設する計画を発表した直後に起きた。工場はTSMCの海外投資として過去最大規模となるもので、ハイエンドの防衛・通信機器に使用できる最先端の5nmチップが製造される。商務省、国務省、国防総省はかねてよりTSMCに米台関係強化策として米国内での工場開設を提案していた。同社はコストを理由に工場建設を渋っていたが、資金援助等が同社の方針転換を促したと見られる。詳細は明らかにされていないが、TSMC広報はコストのギャップを埋められる可能性を見出したと発言しており、国務省関係者も連邦議会から資金が提供される可能性を示唆している。

TSMCの発表を受け、マイク・ポンペオ国務長官は、TSMCとの取引により中国からの経済的独立性が高まるとの声明を発表。ウィルバー・ロス商務長官も「トランプ大統領の政策が米国製造業のルネッサンスにつながったことを示す新たな一例」とコメントを発表している。

一方、中国は米国の対応を強く批判している。中国商務省は17日、「米国は国家権力を利用し、国家安全保障を口実に、他国の特定企業への抑圧を続けるため輸出管理を悪用した」と非難。必要な措置を講じて報復する準備があることを明らかにした。また、ファーウェイは18日に開催されたイベントで、トランプ政権による規制強化は「恣意的かつ悪質」だとして断固反対する姿勢を見せている。