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2020.05

  • 韓国
  • 放送・メディア
韓国の加入型OTT市場の現在地
2019年から2020年にかけて韓国でOTTサービスの再編とリニューアルが進んでいる。今回は主な加入型OTTのサービスの状況を紹介する。Naver等の無料ネット動画サービスを除く加入型OTTサービスの主な提供事業者は、通信・放送事業者、放送コンテンツ事業者である。加入型OTT最大手は、モバイルキャリア最大手SKテレコムと地上波3社(KBS、MBC、SBS)が合弁で提供するwavveである。総合通信最大手キャリアKTは2019年11月に自社のモバイル有料OTTを再編しSeeznを提供中。総合通信キャリアLG U+はモバイル加入者向けオプションサービスとしてU+モバイルTVを提供中。韓国最大の映像コンテンツ企業CE ENMはOTT部門を最近分社し、2020年中に総合編成TV局JTBCとのOTT合弁会社設立に向けた動きを進めている。

コンテンツ制作力と規模で他社を突き放すwavveとCJ ENM・JTBC連合が韓国OTT市場の2強。2者は韓流コンテンツを強みに最初から海外を見据えた勝負に挑む。wavveは2020年4月に米NBCユニバーサルの米国での新OTTサービスのPeacock向けにコンテンツ供給契約を結んだところでもある。

韓国では米国のような、ケーブルテレビ等の有料放送サービスを解約して視聴者がOTTに流れるというコードカッティングは起きていない。というのは、第一に、韓国のケーブル放送やIPTVの月額料金は日本円で1,000円台と安い。第二に、現時点のOTTのコンテンツはTV放送やTVの見逃し視聴や映画がメインであり、各社はコンテンツ増強に力を入れるものの現時点では独自コンテンツでの差別化ポイントがまだ弱い。wavveには無料版と有料版のサービスがあるが、2019年9月時点での有料サービス加入者数は150万。ちなみに、2016年に韓国に上陸したネットフリックスの2019年秋の国内有料加入者数は200万と見られている。国内有力OTTは国内と海外の二正面を見据えるが、まず国内での有料加入者拡大が当面最大の課題でもある。5G対応のため各社はこぞってOTT事業に力を入れる。今後はOTTと既存有料放送との差別化がどのように進むかが注目される。