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2020.05

  • ドイツ
  • モバイル
SAP、新型コロナウイルス感染拡大防止アプリをドイツテレコムと共同で提供へ
ドイツのソフトウェア開発大手SAPは、政府の委託を受け、ドイツテレコムと共同で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため、「コロナ警告アプリケーション」(Corona-Warn-App)を6月中旬から提供する1。スマートフォンにインストールされたアプリケーションが、ユーザーの近接状況を自動記録し、感染者が出た際にその感染者と過去接触したグループに感染の可能性があることを通知するもので、感染連鎖を断ち切り、感染を収束させることを目的としている。また、医療機関は、電話などを使って感染者の移動ルートや接触者を調査する負担を軽減できるほか、受診する者の中から、誰を優先的に感染検査するべきかという検査管理の改善を図ることができる。

コロナ警告アプリケーションの具体的な機能は以下の通りである2
  • アプリケーションをインストールしたスマートフォン間で、Bluetooth Low Energy (BLE)技術を使って、近接距離にいる時間と距離に関するデータを匿名化して交換する。
  • アプリケーションのアルゴリズムが、感染リスクを有する接触時間であるかを判断し、感染の可能性があると判断した場合、データを端末内に記録する。
  • ユーザーの一人が感染の陽性と診断された場合、アプリケーションに診察結果を入力し、過去に感染者と近接位置にいた全てのユーザーに感染リスクが通知され、通知を受けたユーザーは医療機関で感染検査を受ける。

個人データの保護のため、通知を受けるユーザーには、接触時期、接触場所、接触相手などの情報は提供されない。端末間の交換データは端末内部に保存され、感染の陽性結果が出たユーザーがアプリケーションの結果を入力した場合に、そのユーザーの暗号化されたIDが14日間サーバーに登録され、他のユーザーアプリケーションが同IDとの近接状況を参照して警告を受けるなど、個人情報は開示されないように配慮されている。個人情報の扱いについては、2020年5月13日にEUの欧州委員会が新型コロナウイルス対策モバイル追跡アプリの運用に関するガイドラインを公表し3、任意による利用、誰もが利用できる透明性、データの匿名化及び一時的利用、サイバーセキュリティの確保、Bluetoothをベースにした開発などの要件を示しており、ドイツで開発されるアプリケーションもこれらの原則に従ったものになっている。

SAPはアプリケーションの開発とプラットフォームの運用を担当し、ドイツテレコムは、移動体ネットワークの運用とセキュリティを担当する。アプリケーションはオープンソースとして開発者プラットフォームGitHubに公開され、更に、ソフトウェア開発者からの提案を受けて改善を図ることとしている。

 1https://news.sap.com/germany/2020/05/corona-warn-app-entwicklung-axel-sturm/
 2https://news.sap.com/germany/2020/05/corona-warn-app-faq/
 3https://ec.europa.eu/digital-single-market/en/news/coronavirus-common-approach-safe-and-efficient-mobile-tracing-apps-across-eu