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2020.04

  • 韓国
  • セキュリティ、プライバシー
新型コロナ拡大防止と政府の位置情報利用の関係
韓国で新型コロナウイルス感染拡大防止対策として政府が積極的に位置情報等の個人情報を活用していることが注目されている。韓国では2015年のMERS(中東呼吸器症候群)の国内感染拡大を招いたことを教訓として徹底的な感染拡大防止策を整備してきた。その一環として、感染者の移動経路を把握するため、政府が例外的に個人情報を取得して位置情報等を活用する法的根拠が感染病予防法改正により整備された。これにより、政府は今回、コロナ感染者のクレジットカード情報、監視カメラ、携帯電話位置情報、公共交通カード記録といったビッグデータを活用して詳細な移動経路を確認し、関連情報をホームページで公開している。携帯電話の位置情報提供については、保健福祉部(部は省に相当)又は地方自治体の長の要請を受けた警察が通信事業者に提供を要請するというプロセスをとる。通信事業者はこれに従う義務がある。

民間から提供された各種データを基に政府が公開する情報を活用し、民間の位置情報活用のコロナ対策モバイルアプリも複数登場している。政府の位置情報活用サービスとして前回本コーナーで紹介した、行政安全部開発のコロナ感染者管理用の「自宅隔離者安全保護アプリ(以下、保護アプリ)」は義務ではないため、管理対象者の利用率は6割程度。韓国では4月からの入国者すべてを対象に2週間の自主隔離義務を導入したため管理対象者が大幅に拡大。これと同時に、隔離義務を無視して勝手に外出してしまう無断離脱者の事例が増えたことが社会的に問題視された。

自主隔離義務違反者の管理強化対策として、政府は4月半ば、前述の保護アプリと連携する位置情報活用電子リストバンドの導入を決定。違反者は摘発時に、「安心バンド」と呼ばれる電子リストバンドを手首に装着される。リストバンド装着に際しては、本人の同意を得たうえで残りの隔離期間中にリストバンドを着用する。その際に、公務員が違反内容、処罰規定等について十分に説明した後に同意書を取る。リストバンド導入に対しては、犯罪者扱いだとか人権上問題だといった懸念も表明されたものの、直近の世論調査では国民の8割が導入に賛成。コロナ感染拡大防止のためには思い切った措置が必要という世論が政策を支えた格好である。