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2020.02

  • EU
  • クラウド、ビッグデータ、電子政府
EU、「デジタル主権」の確立を目指し新たなデジタル戦略を発表
欧州委員会(EC)は2月19日、米国、中国とは一線を画す「デジタル主権」の確立を目指し、欧州データ戦略および人間中心主義の人工知能(AI)開発政策について発表したi。今後5年間、EUデジタル戦略として以下の三つの目的に焦点を置くことを明らかにした。

*人々に役立つ技術
*公正かつ競争的な経済
*開放的、民主的および持続可能な社会

新データ経済において模範的かつリーダ的な位置づけを狙うEUは、データ戦略についてEU域内の企業、学術機関、公共機関3者間における自由なデータ流通を促進するデータ単一市場「European Data Space」の形成を計画している。増加する産業データの活用を促進することで、GAFAなどの米国IT企業やBATなどの中国IT企業が個人データ市場を支配している現状を打破するとともに、産業分野でのデータ活用を軸に巻き返しを図りたい考え。ブルトン委員は、欧州にはビッグデータ競争をリードし、技術的な主権を維持するために必要なものがあるとしている。ECはその実現に向けて欧州企業などの産業データを共有可能にする、データの管理、アクセス、再利用に関する規制枠組み制度も提案している。

同日に発表されたAIに関するホワイトペーパーでは、技術的卓越性と信用に基づいた信頼できるAI枠組みを提案し、官民協働でバリューチェーン全体に投資を呼び込み、中小企業を含む産業部門へのAI導入促進を奨励している。その際、消費者保護、不公平な商習慣、個人データ保護に対する厳格なEU規則は引き続き適用するという。

また、医療、警察、あるいは輸送分野など複雑で高いリスクを伴うAIシステムについては透明性を高め、追跡可能であり、人間による監視を保証する明確な規制を設ける方針を示した。また、リモート生体認証の顔認証について、現時点では特例を除いてEU域内では禁止されているが、ECはどのような状況を特例とするかについての広範な議論が必要であるとしている。一方、低リスクのAIアプリケーションについは自発的な規格表示の導入を検討している。

次のステップとしてECは今年末にも「デジタルサービス法」および「欧州デモクラシー・アクション・プラン」などを発表する他、電子署名等のトラストサービスに係るeIDAS規則の見直しや、サイバセキュリティ強化のための共同ユニットなどを提案する計画である。「デジタルサービス法」には、オンライン・プラットフォーム上で投稿されたコンテンツに対するプラットフォーム運営企業の責任についても明確化される見込みとなっている。また、これらにはグーグルに対する反トラスト法違反訴訟や、現在進行中のアマゾンやフェイスブック、アップルに対する調査結果も反映される可能性が高いと見られている。

ihttps://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_20_273