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2020.02

  • アメリカ
  • クラウド、ビッグデータ、電子政府
国防総省JEDI計画を巡る戦いは未だ終結せず
国防総省は、同省の機密データをクラウド環境で一元管理する、予算規模100億ドルの「Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI)」計画を打ち出し、サーバーの運用を受託する民間企業の選定を進めてきた。

契約先は、クラウド・コンピューティング市場で優位な立場にあり、既に中央情報局(CIA)等と交わしているアマゾンが最有力と見られていたが、国防総省と同社の緊密ぶりから「アマゾンありきの出来レース」ではないかとの疑惑も浮上し、IBMやオラクルが異議申し立てを行う等、選定プロセスは混乱を極めた。2年間に亘る選考の結果、国防総省は2019年10月、最終的にマイクロソフトを契約先に選んだ。

予想外の結果ではあったものの、これによりJEDIを巡る各社の戦いには終止符が打たれたと思われた。しかし、アマゾンは国防総省の決定を不服として、2019年12月、連邦請求裁判所に提訴。マイクロソフトが受注した契約の執行を一時差し止めることを求めた。同社は、「AWSはクラウド・コンピューティングのリーダーであり、正確に比較した場合、明らかに異なる結論が得られるはずだ」として、自社がJEDI契約を受注できなかったのは、トランプ大統領が、自身の政敵であるアマゾン創業者のジェフ・ベゾスCEOに受注させないよう国防総省に不適切な圧力をかけたためだと主張した。

国防総省とマイクロソフトの契約は2020年2月14日より執行開始される予定だったが、連邦請求裁判所はその前日の13日にアマゾンの訴えを認め、国防総省に対しJEDIに係る作業を一時停止するよう仮差止命令を発出した。これにより、JEDI計画には正式に待ったがかかったことになる。国防総省は「今回の措置により国防総省の現代化戦略の実施が不必要に先延ばしされ、戦場の兵士が緊急に必要としている技術が奪われた」との声明を発表しており、マイクロソフトは「事実を確認すれば、国防総省が公正で緻密なプロセスを実施したことがわかるはずだ」とのコメントを出している。