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2019.12

  • 韓国
  • 放送・メディア
世界初の地上波4K放送は既にお荷物状態
4K/8K(UHD)放送技術・サービス開発に力を入れる韓国では、平昌冬季五輪にタイミングを合わせる形で2017年5月に世界初の地上波4K放送を開始した。鳴り物入りでの新サービスにかかわらず、国内では既にお荷物扱いとなっている。地上波4Kをめぐる現状を紐解きたい。

地上波4K放送サービス実現は地上放送事業者の強い要望を受け、国会が介入する形で無理やり700MHz帯を地上波4社に割り当てる決定をした経緯から既に問題があった。2019年末現在で地上波4Kを実際に視聴する国民の正確な数値は把握されていないが、1%もいないとされている。というのも有料放送サービス加入が9割以上を占める韓国では地上波直接受信世帯は5%未満。地上波4Kの有料放送での再送信も実現していない。そもそもニーズの見通しを当初から無視している。

地上放送事業者は地上波4Kの免許条件として、毎年ベースで地上波4K放送番組の一定比率以上の編成義務がある。2018年度は地上波では編成番組の10%以上の4K画質での放送を義務付けられていたが、公共放送KBSが既にこのラインを守れない。4K画質番組編成比率義務を満たせない事情として、地上波各社は広告収入がこの数年で予想以上に大きく落ち込み財務面が厳しいことを強調している。

韓国では毎年10月に国会で国政監査が行われ、政府の政策点検が実施されるが2019年の国政監査ではこのような状況の地上波4K放送もやり玉に挙がっている。見る人がほとんどいない地上波4Kのために国家資源の700MHz帯をタダで地上放送事業者に与えたのは誰かという戦犯探しまで始まっている状況。慎重な検討をせずに地上波に電波を割り当てた国会と地上放送事業者の見通しの甘さが主たる原因と言えよう。

地上放送規制機関の放送通信委員会が、地上波側の事情に配慮する形で2020年7月に地上波UHD政策見直し方策をまとめる予定だが、地上波4Kの見通しは不透明であることに変わりはない。