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2018.12

  • アメリカ
  • クラウド、ビッグデータ、コネクティッド
大手スーパー「クローガー」、無人自動運転車による食料品配達サービスを開始
自動運転技術の米スタートアップ企業「ニューロ(Nuro)」が2018年12月より公道での完全自動運転による食料品配達を開始した。「ニューロ」は、2018年8月に自動運転車を使った食料品配達サービスで、全米最大の食料品店チェーン「クローガー」傘下のフライズフードと提携していた。フライズは、アリゾナ州スコッツデールにある店舗の一つで「ニューロ」の車を使って周辺の顧客に食料品を配達している。当初の配達車両は、トヨタ・プリウスをベースに、「ニューロ」がセンサーやソフトウェアを搭載して自動運転化したもので、安全のために運転手も搭乗。この車で8月以降、1,000回の配達を行ったという。

今回は、新たにカスタムビルドされた無人自動運転車両「R1」を投入した。プリウス・ベースの車両より大幅に小型・軽量化された「R1」には、運転手の搭乗スペースは設けられていない。「R1」は、現在2台が運用されている。フライズは今後、食料品配達にプリウスと「R1」の両方を使っていくという。

自動配達サービスは、マーブルやスターシップなども提供しているが、これらのスタートアップ企業は歩道を移動するロボットを開発・利用する。これに対して、「ニューロ」の車両は、車道を最高時速25マイル(約40キロ)で走行可能で、より広い範囲を短距離で移動できる。

「ニューロ」が最初に自動運転車の運用を開始したフェニックスから数マイル南にあるチャンドラーでは、アルファベット傘下のウェイモも自動運転車の商業サービスを展開しているが、こちらはまだ無人の完全自動運転には踏み切っておらず、利用できるのも地域住民の参加による公道試験「アーリー・ライダー・プログラム」の登録者のみに限定されている。

ウェイモの計画は、およそ100平方マイル(約260平方キロメートル)という広い範囲にわたって、あらゆるタイプの道路状況に対応できる汎用タクシー・サービスを提供するという野心的なもので、これに比べると、1店舗の周囲数マイルを時速25マイルで走行する「ニューロ」の自動運転車プログラムはかなり慎ましやかである。低速で1回の走行距離も短いため、ウェイモより安全面で配慮すべき点が少なくて済む。

安全性でいえば、「ニューロ」の車両は軽量であるため、たとえ衝突事故が発生しても大きなダメージを生むことはないと考えられており、食料品だけしか載せていないので、乗員の安全を心配する必要もない。これらの理由で、ウェイモよりも早く完全自動運転車の商業サービスを開始することが可能になった「ニューロ」は、今後の成果が順調であれば、無人自動運転車による配達サービスを拡大していくことを予定している。