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2018.06

  • アメリカ
  • ブロードバンド・ICT基盤整備
FCC、ネット中立性規則を廃止
FCCのネット中立性規則が6月11日、正式に廃止され、新たな規則に取って代わられた。しかし、その是非を巡る訴訟は今後も係争が続くことが予想される。
 
新規則の下では、ISPが特定のウェブサイトへのアクセスをブロックしたり、通信速度を引き下げる、あるいは逆に有償で優遇するといったことも、その実施を開示している限りは認められる。アジト・パイFCC委員長は、これによりISPの投資が拡大し、より高速で品質の良いインターネット・アクセスが低料金で提供されるようになり、市場競争も活発化するだろうとしている。
 
コムキャスト、ベライゾン、AT&Tは、ネット中立性規則廃止後も合法的なコンテンツのブロックや不当な差別はしないと約束。AT&Tは「インターネットは昨日までと同じように機能を続ける」とし、コムキャストも「サービスは今日も明日も変わらない」としている。また、大手CATV、TVネットワークなどで作る業界団体は「政治的論議を煽りたいグループがネット中立性規則の廃止が破滅をもたらすかのような主張を展開しているが、消費者はインターネット・サービスがこれまでと変わりなく、今後さらに改善していくのを目にすることになるだろう」とのコメントを発表している。
 
一方、インターネット・アソシエーションは「訴訟、立法、行政措置などを通じてネット中立性の保護を復活させる決意に変わりはない」との声明を発表。廃止に反対していた民主党FCC委員のジェシカ・ローゼンウォーセル氏も、この決定でFCCは歴史と法律の誤った側に立ち、米国民とも真逆の立場を取ることになったと改めて批判している。上院民主党院内総務を務めるチャールス・シューマー議員も「この採決に反対した全ての共和党議員はFCCの誤った決定の責任を負うことになるだろう」と発言した。
 
上院では5月16日にFCCのネット中立性規則廃止を無効とする決議案が採決されており、下院での可決の見通しは不透明ながら、民主党は今年後半の採決に依然期待している。また、世論調査ではネット中立性への支持は高いことから、同党はこの問題が中間選挙で若い層の票を取り込む材料になるとも見ている。そのほか、FCCのネット中立性規則廃止に対して22州が異議を申し立てる訴訟を起こしているが、連邦控訴裁での口頭弁論の予定はまだ立っていない。
 
なお、FCCのネット中立性規則の廃止に合わせて、ワシントン州では3か月前に成立した独自のネット中立法の施行が6月11日から開始された。州が独自にネット中立法を施行するのはワシントン州が初めてである。FCCは州独自のネット中立法は無効としているが、ワシントン州でネット中立法案を提出したドリュー・ハンセン州議員はFCCに州の立法を無効とする権限はないとし、州法は法廷でも認められるはずだと述べている。