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2018.03

  • EU
  • セキュリティ、プライバシー
欧州委員会、違法なオンライン・コンテンツ対策の勧告を公表
2018年3月1日、欧州委員会は違法なオンライン・コンテンツ対策の勧告を公表した。このたびの勧告は、2017年9月に欧州委員会が公表した関連するコミュニケーションのフォローアップであり、違法なオンライン・コンテンツ対策に際しての実行指針のセットが勧告には盛り込まれている。勧告の内容は、テロリストのコンテンツ、憎悪や暴力の煽動、児童の性的虐待に関わるもの、偽造品、著作権侵害といったすべての違法コンテンツが対象となる。企業や加盟国は勧告に従い対策を強化することが求められるが、欧州委員会は各方面の取り組みが不十分であると判断した場合には新たな法律を提案することも検討している。
 
勧告に盛り込まれた実行指針の概要は以下のとおりである。
 
*「通知・アクション」手続きの明確化:企業は「信頼できる警告者(Trusted Flagger)」との迅速な連携も含めた違法コンテンツの通知に関する簡便かつ明確な規則を設けるべきである。違法ではないコンテンツの非意図的な削除を防ぐためにコンテンツ・プロバイダはコンテンツの削除に関する決定を通知し、異議申し立ての機会を設けるべきである。
 
*より有効なツールと事前予防の技術:企業はユーザーを対象とする明確な通知システムを設けるべきである。
 
*基本的な権利を保証するためのセーフガードの強化:コンテンツの削除は正確かつ十分な根拠に基づいて決定される必要がある。企業は基本的な権利、表現の自由、データ保護規則を十分に尊重しながら、有効かつ適切なセーフガードを設けるべきである。
 
*小規模企業への特別な注意:産業界は自発的な連携を通じてベスト・プラクティスや技術的なソリューションに関する協力や経験の共有を図るべきである。責任の共有は資源や専門性が限定された小規模のプラットフォームに恩恵をもたらす。
 
*関係機関同士の綿密な連携:違法コンテンツが重大犯罪と関連し、生活や安全に脅威をもたらす疑いが確認されるような場合には、企業は法執行機関に即時に通報すべきである。加盟国は適切な法的義務を確立すべく取り組む必要がある。
 
欧州委員会は、とりわけ、テロリストのオンライン・コンテンツが欧州市民のセキュリティに重大なリスクをもたらすと見なしており、勧告にはテロリストのオンライン・コンテンツの抑制を目的とした特別規定が盛り込まれている。
 
*1時間ルール:テロリストのコンテンツは公開から1時間が最も脅威であると考えられている。すべての企業は照会を受けてから1時間以内に該当するコンテンツを削除すべきである。
 
*早期発見と効果的な削除:インターネット企業はテロリストのコンテンツを効果的かつ迅速に削除・無力化し、また削除されたコンテンツが再び公開されることを防ぐために、自動検知を含む事前予防の方策をとるべきである。小規模のプラットフォームを支援するために、企業は適切な技術的ツールの共有や最適化を進め、欧州刑事警察機構(ユーロポール)を含む関連機関との効果的な連携を図るために取り決めを結ぶことが求められる。
 
*照会システムの改善:照会プロセスに迅速な手続きを導入する。併せて、加盟国はテロリストのコンテンツの発見、確認、照会に必要な能力や資源の確保・向上に努めるべきである。
 
*定期的な報告:加盟国は照会、フォローアップ、企業との連携状況などについて、3か月ごとを目安に欧州委員会に対して定期的に報告すべきである。