マレーシア通信マルチメディア委員会(Malaysian Communications and Multimedia Commission (MCMC)は、2017年10月11日、700 MHz帯の割当てに関する方針「2017年マーケティング計画1号」(Marketing Plan No. 1 of 2017)を発表した。700 MHz帯は、現在、アナログ放送用の周波数として分配されているが、デジタル放送への移行に伴う周波数移転の後、LTE等のモバイル・ブロードバンドへ再分配することが、2017年9月、省令「700 MHz帯周波数の再分配に関する省決定(2017年決定第1号)」(Ministerial Determination on 700 MHz Spectrum Reallocation, Determination No. 1 of 2017)により定められている。MCMCの方針は、上記省令を受けて、同帯域の割当方法の詳細を明らかにしたものであり、2017年10月25日まで利害関係者からの意見募集を行う。
主な内容は以下の通りである。
- 周波数帯域:
- 分配される帯域は、703 MHz - 743 MHz/758 MHz - 798 MHz(40 MHz幅×2)。
- 5 MHz幅×2ごとの周波数ブロックに分割し、計8ブロックを割り当てる。
- 1事業者の保有は、4ブロック(20 MHz幅×2)までを上限とする。
- 免許期間
デジタル放送への周波数移行終了後、2019年1月1日から15年間。
- 選定方法
以下の項目に関する計画・実績の比較審査により事業者を選定する。
- ① サービス及び設備計画
MCMCが指定する、以下のサービスカバレッジを達成するための基地局・通信網の敷設等の事業戦略。
- LTE等のモバイル・ブロードバンドサービスの人口カバレッジを、2020年に95%、2023年に98%とする。
- 2023年までに主要高速道路・主要鉄道沿線をカバーする。
- ② インフラの共有(infrastructure sharing)
- ネットワーク設備(鉄塔、床スペース、アンテナ等)共有に関する計画。
- 伝送能力(トラフィック、第三者事業者へのアクセス条件等)の共有に関する計画。
- ③ サービス料金・サービス品質
- 現行の料金よりも低廉な価格でモバイル・ブロードバンド・サービスを提供するための戦略。
- 2020年までに、30 Mbpsを最低速度としてデータサービスを提供するための戦略。
- ④ その他
- 過去のサービス実績記録。
- 財務実績及び計画。
- 組織管理・技術管理等に関する実績記録。
- 割当てに対し事業者が支払う料金
割当を受けた事業者は、周波数ブロックを単位に定められた料金を支払う。
- 周波数価格(price component)
1ブロック(5 MHz幅×2)当たりの周波数の料金が固定価格で定められている。価格は、一括、5年、10年、15年の支払い方法により異なり、事業者は以下のいずれかを選択することができる。
- Option 1(一括支払い(one lump sum)):215,535,000リンギ
- Option 2(5年支払い(Five equal annual payments)):260,595,000
- Option 3(10年支払(Ten equal annual payments)):328,380,000
- Option 4(15年支払(Fifteen equal annual payments)):417,120,000
例えば、事業者A社が、2ブロック(10 MHz幅×2)の割当てを受け、10年支払いを選択した場合、1ブロック当たりの固定価格は328,380,000リンギ、2ブロックの総額は656,760,000リンギ。各年の支払額は、10年の割賦により65,676,000リンギとなる。
- 年間料金(annual fee component)
割当を受けた事業者は、割当て期間中、1ブロック当たり年間18,539,000リンギを支払う。
MCMCの予定では、利害関係者から募集した意見を踏まえ、2017年10月末に割当て方法を最終決定し、2018年1月2日まで割当て申請者を募集することとしている。