2017年3月、マレーシア政府は、デジタル経済化の進捗を図るため、首都圏地域に「世界で初めてとなる(1)」デジタル自由貿易ゾーン(Digital Free Trade Zone: DFTZ)を設置した。スタート時には電子商取引のハブの確立が目標とされており、物流面を支える「DFTZ@Aeropolis」をクアラ・ルンプール国際空港内に設定し、東南アジアをターゲットに定めた国内外の関連企業を誘致するために「クアラ・ルンプール・インターネット・シティ」を設定している。
1990年代に開始されたマルチメディア・スーパー・コリドー計画以来、マレーシア政府は、特定産業の育成・成長のために地域指定(ゾーン)方式の開発政策を選好している。
DFTZにおいては、インターネット関連のスタートアップ企業の育成や、既存大手とのマッチアップを図る予定である。そのため、高速回線、保税倉庫等のインフラの整備を行い、政策誘導や規制緩和といった側面支援を実施し、スタートアップ企業には税制面での優遇を与えている。また、ゾーン内への電子商取引による輸入については、500リンギ(約13,000円、5月10日時点)以下の商品については非課税とする予定である。
DFTZは、マレーシア政府が電子商取引の国内総生産(GDP)への寄与を、現在の10.8%から2020年には20%に引き上げようとしている政策の一環でもある。
5月にはナジブ首相が、アリババの本社を訪問し、杭州市、アリババとDFTZの推進主体であるMalaysia Digital Economy Corp (MDEC、旧MDC)との協力協定締結の立会人となった。
(1) ナジブ首相は開設式において、そのように紹介した。