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2015.08

  • 中国
  • クラウド、ビッグデータ、コネクティッド
中国のIoT(物聯網)、世界最大の市場に成長とGSMAが予測

今後の「モノのインターネット」(IoT)市場の成長に関して、国際GSM協会(GSMA)は、2015年7月、中国市場が世界最大の規模になるとの報告を発表した。GSMA報告書「How China is Scaling the IoT」によれば、中国のセルラー網を使ったM2M接続デバイス数は、2014年で7,400万。2020年までには3億3,600万まで拡大(年平均成長率29%増)し、他国を凌駕するとの予測が報告されている。

各国IoT接続デバイス数
各国IoT接続デバイス数
出所:GSMA Intelligence
http://www.gsma.com/newsroom/wp-content/uploads/16531-China-IoT-Report-LR.pdf(別ウィンドウで開きます)

背景としては、(1)政府の強力な支援、(2)中所得層の拡大によるコネクテッド・カー、ウェアラブルへの需要増、(3)通信キャリア、機器ベンダーなどによる自社サービス・製品の開発、などが挙げられている。これらの動向はおおむね以下の通りである。

(1)IoTへの政府支援
  • 2010年10月「戦略的新興産業」の一つにIoTを位置づける国務院決定の発表後、工業・情報化部(MIIT)が2012年に発表した5か年計画で、IoT市場規模を1兆元(1,630万ドル)に成長させることを明言。
  • 具体的な政府施策として、IoT関連のソフト・ハードの開発面で、税制措置と、2013年MIITと財政部共同のIoT特別基金の設置(2014年100億元(16億US$)拠出)などがある。
  • 今後の予定として、中国政府が2013年9月に発表した「IoT発展に関するアクションプラン」に従い、2015年中に、政府トップレベルでの計画策定、標準化、技術研究開発、アプリケーション普及、ビジネスモデル開発、安全性、政府支援、法制度整備、人材育成などに取り組むこととされており、2015年以降の急速な成長が予想される。
  • そのほか、中央政府が202都市をスマートシティとして選定しており、これら都市において、運輸、電力、公共安全、環境の分野でセンサーネットワークが構築されると見込まれる。
(2)コネクテッド・カー、ウェアラブル・サービスの成長
  • コネクテッド・カー分野
    中国の経済成長に伴う中所得層の拡大を背景に、自動車需要が増大しており、これに伴いコネクテッド・カーサービスの成長が見込まれている。国内乗用車の保有台数は2013年で1億台以上、2014年販売台数が1,970万台。IoTに対応可能な組み込みSIMの装備率は現行8%。2018年は30%へ増加する見込みである。中国では、自動車とインターネットの融合をIoV(Internet of Vehicle)を独自のサービス名称を使っており、次世代サービスの開発に意欲を示している。自動車メーカもIT企業との提携を進めている。
    • 4大自動車メーカの一つ上海汽車(SAIC)はアリババと、東風汽車集団と重慶長安汽車は華為と、北京汽車-楽視網(ネット動画)とパートナー関係を結んでいる。
    • BMW、Audiは、百度(Baidu)とパートナー関係を結んでいる。
  • ウェアラブル
    ウェアラブルを使用した子供追跡サービス(サービスブランド50以上)、フィットネスサービスへの需要が高まって、特にリストバンドの普及が急速に拡大している。
    例えば、小米(Xiaomi)の低価格フィットネスバンド「Mi Band」(79元(13US$))は、2014年国内売上が100万台以上を記録している。同バンドは世界でも2014年に600万台以上販売されるなど世界的な売れ行きとなっている。

これらのサービスのほか、エネルギー、コンシューマ・サービス(情報家電、スマートホーム、ホームセキュリティ)、小売(POS)、農業などが今後の成長分野として期待されている。

(3)通信キャリア・ベンダーの動向
  • 通信キャリア
    • 中国移動(China Mobile):2007年からM2Mサービスを開始。現在のIoT端末が4,000万、今後5年間で60%増加の見込み。重点ビジネスはIoV分野で、2015年中に50万ユーザー獲得目標。車両への情報サービスでドイツテレコムと合弁会社設立。
    • 中国電信(China Telecom):IoV(トヨタと提携)、スマートホーム(Yue me(悦me))に注力。
    • 中国聯通(China Unicom):スマートホーム分野に注力。
  • ベンダー
    • ハイアール、華為、レノボ、ハイセンス、TCL等が情報家電、スマートホーム製品開発を推進。
    • 小米が低価格モジュール(22元(3.5US$)を開発。これまでモジュールの高価格がIoT普及の障害の要因の一つとされてきたが、低価格のデバイスが市場投入されることでIoTサービス普及に進展するものと見られている。