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2016.05

  • 韓国
  • 電波関連
予想外に静かに終わった2016年周波数オークションが示唆するもの

2011年から周波数オークションが導入されている韓国で、既存モバイルキャリア3社を対象とした、第三回目となるLTE周波数オークションが2016年4月末から5月初めにかけて実施された。前2回のオークションは、50回以上のラウンドを重ねてヒートアップした。今回は特に、国内史上最大の複数帯域140MHz幅(700MHz/1.8GHz/2.1GHz/2.6GHz)を一挙に5ブロックで開放するため、早くから注目を集めていた。

しかしながら、今回のオークションは予想に反し、過熱化することなく2日目に8ラウンドで終了。競願となったのは2.6GHz帯のみで、700MHz帯(40MHz幅)は買い手が付かずに流札となった。そのため、最低入札価格は2兆5,779億ウォンであったが、最終落札価格はこれを下回る2兆1,106億ウォン(約2,111億円)となった。落札の内訳は、SKテレコムが2.6GHz(60MHz幅)、KTが1.8GHz(20MHz幅)、LG U+が2.1GHz(20MHz幅)。

今回のオークションの分析として、キャリアがLTE全国網整備を完了した時点で必要な周波数のみの確保に主眼を置くようになったことなどが挙げられている。また、今回の対象帯域はキャリアにとってLTE主力バンドではなく補助バンドでもある。キャリア3社は世界に先駆けた5G本格サービス開始に向けて5Gに資金を投入するため、過度な投資は避けたいところ。このような趨勢から、今後政府はオークション収入を財源の当てにできなくなりそうである。

また、今回のオークションで、FDD方式LTEに利用可能な周波数の大部分が割り当てられたため、移動通信市場新規参入向けにはTD-LTE用帯域だけが残される形となった。政府はこの6年間で7度にわたりモバイルキャリア新規参入を試みては挫折を繰り返している。新規参入向け周波数の選択肢が減ったことから、今後の競争政策からキャリア新規参入は外れ、MVNO活性化が中心になるものと見られている。