[HTML]
H1

詳細ページ

お知らせ表示

2016.07

  • 韓国
  • スマート社会
2016年のFinTechの三大トレンドはロボ・アドバイザー、ビッグデータ活用、海外展開

日本では2015年後半から、金融とICT活用を組み合わせた概念のFinTech(フィンテック)のキーワードに着目する向きが急速に拡大している。海外の先行事例に目を転じると、早くからサービス展開する米国、都市整備と絡めてFinTech集積地を整備した英国、急速に国境を越えたサービス展開が拡大しつつある中国、が主に紹介されてきた。一方、ICT分野を得意とする韓国では、規制の多さがネックとなり、FinTech分野のサービス導入で出遅れていた。韓国独特の金融規制の例として、財閥系大企業による銀行の私金庫化を防ぐ狙いから、金融以外の業種の銀行業参入が禁じられており、インターネット専業銀行が存在しなかった。2013年に成立した朴槿恵政権では規制緩和によりICT活用融合サービス拡大による成長戦略を描いており、中でもFinTechを有望分野と位置付け、戦略的育成を図っている。

金融行政を担う金融委員会は2015年5月に広範なFinTech産業活性化政策パッケージをまとめ、国内FinTech産業のエコシステム構築に向けた、大規模規制緩和と促進戦略を並行して進めている。規制緩和の一環として、ネット専業銀行の参入が可能となり、2016年中に、通信キャリア最大手KTと、カカオトークで知られるネットサービス大手カカオがそれぞれ、ネット専業銀行を設立することになった。ICT業界2社によるネット専業銀行では、既存銀行のオンラインバンキングとの差別化のため、ビッグデータや人工知能(AI)等の新技術活用や革新的サービス導入を計画しており、ビジネスモデルが注目されている。この他に、2016年1月にクラウドファンディング法施行、金融分野ビッグデータ推進のための世界初の信用情報統合管理機関設立など矢継ぎ早に関連施策が実行に移されている。また、FinTech分野のスタートアップ、ベンチャー育成のため、起業から海外展開までをワンストップで支援するFinTech支援センターが2015年3月に政府主導で立ち上げられた。

2016年中のFinTech促進戦略のキーワードは、ロボ・アドバイザー、ビッグデータ活用、海外展開の促進である。ロボ・アドバイザーとは、顧客資産の分析や運用を自動で行うサービスや事業者を指す。韓国では2015年から金融業界が競ってロボ・アドバイザー導入を開始し、政策面でも2016年中にロボ・アドバイザーによる完全自動化が実現するための規制緩和が進められる。海外展開もターゲット地域を年度で選定し、政府がバックアップする。国際展開を視野に入れてスピーディに展開される韓国のFinTech促進戦略の今後の展開が我が国にも刺激になりそうである。