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2016.08

  • 韓国
  • 事業者のM&A・国際展開
移動通信最大手SKテレコムとCATV最大手CJハロービジョンの合併計画とん挫で苦境のCATV業界

2015年末の移動通信最大手SKテレコムによる、CATV最大手CJハロービジョンの買収合併計画の行方は大きく注目された。公正取引委員会が異例的な長期間の審査を進めていたが、2016年7月、両社の合併が有料放送市場、移動通信小売市場及び卸売市場等の競争制限につながる恐れがあると判断され、合併計画はとん挫した。

韓国の通信業界は、固定・移動を合わせた総合通信最大手KT、LG電子系列の総合通信事業者LG U+(ユープラス)、移動通信最大手SKテレコムと固定通信子会社SKブロードバンドを合わせたSKテレコムグループの3勢力が競争を展開している。通信業界の再編は、2008年にSKテレコムが当時固定通信業界二番手であったSKブロードバンド(旧ハナロ・テレコム)を買収・子会社したことを契機に、2009年から2010年にかけて、KTとLG U+が系列の通信事業者間で合併をしたことで、国内通信業界の再編が進んだ。

業界再編の口火を切ったのはSKテレコムであるが、SKブロードバンドとの合併の動きは見せてこなかった。そして、2009年以降は、プラットフォーム部門の機動性を高めるためにプラットフォーム専門子会社SKプラネットを分社し、半導体大手のハイニクスを買収するといった独自路線を取ってきた。

CATV最大手のCJハロービジョンは、国内最大手メディアコングロマリットのCJグループの系列会社で、MVNO市場においても第1位。なお、有料放送市場では、合併会社がのCATVとSKブロードバンドのIPTVという二種類のプラットフォームを保有することになり、CATVの23放送区域のうち21区域でシェア1位となることなどが競争制限要因と判断された。特に、公取委は、合併後に有料放送料金の引き上げにつながる可能性を重視した。

なお、有料放送市場で通信事業者のIPTVにシェアを奪われて加入者減少傾向のCATV業界は、今回の公取委の合併不許可判断で苦しい立場に置かれる。CJハロービジョン以外にも買収を模索するCATV事業者は複数存在するが、今回の公取委判断で、通信事業者による買収が当分閉ざされる可能性を不安視する向きもある。