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2017.08

  • フランス
  • 電波関連
規制機関ARCEP、5Gへの3.5GHz帯の分配方針を発表

電子通信・郵便規制機関(Autorité de régulation des communications électroniques et des postes:ARCEP)は、2017年6月、第5世代移動体通信(5G)への3.5 GHz帯(3400 MHz-3800 MHz)の分配に関する方針を発表した。2017年1月から3月に実施されたパブリックコンサルテーション「地域、企業、5Gおよびイノベーションのための新たな周波数」(De nouvelles fréquences pour les territoires, les entreprises, la 5G et l’innovation)の結果報告を行った際に、ARCEPが明らかにしたものである。

ARCEPの計画では、5Gへの3.5 GHz帯の分配について、①同帯域における周波数の再編、②5Gトライアル用の周波数の分配を行うとしている。①は、同帯域上の周波数を途切れのない連続したものにし、2020年までに300 MHz幅を、2026年までに340 MHz幅を5Gシステムで連続して利用できる帯域に再編する、というもの。ARCEPは、3400-3600 MHz帯を中心に既存の免許帯域の入替え等を行い、そのための免許内容の改正を行う予定である。現在、既存の地域事業者約20社が同帯域を利用しており、ARCEPは、2017年末までに、これらの既存事業者との周波数調整を行うとしている。

②の5Gトライアルについては、3600 MHz-3680 MHz の80 MHz幅を分配することとしている。ただし、同周波数は、国内地域により規制状況が異なっているため、先ずは、リヨン(Lyon)、ナント(Nantes)、リール(Lille)、ル・アーヴル(Le Havre)、セイント・エティエンヌ(Saint-Etienne)、グルノーブル(Grenoble)の都市において、トライアル用の帯域を分配する。ARCEPは、2018年中に5Gサービスの国内提供を実現したい意向であり、5Gトライアル用の周波数帯域の早期利用を、事業者に呼びかけている。

なお、5G以外に、上記パブリックコンサルテーションでは、次の2つのサービスへの周波数利用に関する意見も求め、ARCEPは、これらサービスへの周波数分配についても迅速に対応する方針を明らかにしている。

  • ①固定無線による超高速アクセスサービスの普及
  • ②業務移動無線(Professional Mobile Radio:PMR)の超高速ネットワークへの移行

①については、特に、有線による超高速通信が利用できない地域における無線システムの利用を図るため、ARCEPは、3.5 GHz帯を、超高速無線ネットワーク用の無線ローカルループ(WLL)のアップグレードに利用する方針を明らかにした。3420 MHz-3460 MHzの40 MHz幅を分配し、更に、規制状況により追加分配が許容される地域では、3410 MHz-3420 MHz帯の10MHz幅を分配することを検討するとしている。

この方針について、ARCEPは、2017年7月13日から、コンサルテーション「フランスにおける超高速無線のための3410-3460 MHz帯の分配」(Attribution de fréquences de la bande 3410 - 3460 MHz pour le très haut débit radio en France métropolitaine)を開始しており、3410 MHz -3460 MHzの利用手続きの詳細や同帯域の利用を制限する場合の条件などについて、利害関係者のコメントを求めている(9月7日締切)。ARCEPは、同コンサルテーションの結果を踏まえ、同年9月中に同帯域の利用に関する決定を採択するとしている。

②のPMRは、現在、空港・地下鉄などのインフラ事業者や民間企業に広く普及しているが、多くの場合2G技術を使っており、これを超高速ネットワークにグレードアップするために、ARCEPは、2.6 GHz帯における時分割(TDD)用の40 MHz幅(2575 MHz-2615 MHz)を分配する方針を明らかにした。2017年秋にパブリックコンサルテーションを実施し、この結果を踏まえ、2017年末までに周波数分配手続きを開始する計画である。

図 2.6GHz帯及び3.4-3.6GHz帯の利用方針(イメージ)