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2015.09

  • フランス
  • 放送・メディア
政府、フランス・テレビジョンの財政再建に苦慮

仏公共放送フランス・テレビジョンは2015年8月24日、前総裁の任期満了に伴い、前オレンジ副社長のErnotte Cunci氏を新総裁に任命した。同氏は就任に当たり、今後5年間の事業目標として以下を提示した。(1)傘下の6チャンネルの番組の内容充実、(2)ニュース専門チャンネルの開設、(3)地上放送とデジタル媒体の融合、(4)国外への番組輸出や国際番組制作の活性化。

新総裁は上記の目標のため、数年間赤字が続いているグループの財政再建が必要であるとし、年末にかけて組織再編に取り組むとともに、政府に給付金の増額を呼びかけた。

フランス・テレビジョンでは、前政権下で2009年から実施された夜間(20時~翌6時)の広告の廃止が、年間約1億ユーロの収入減をもたらし、毎年数千万ユーロの赤字を計上することになった。2015年も様々な経費節減策を打ち出しているものの、1,000万ユーロ程度の赤字は免れられないと見られている。

これに対して、放送部門の監督官庁である文化・コミュニケーション省は、8月に公共放送の財源確保策として、現在テレビ受像機所有に対する課税と位置付けられている受信料徴収の対象をネット接続デバイスに拡張することを提案したが、これには通信担当の経済・産業・デジタル化省が反対している。

9月13日の文化・コミュニケーション省発表では、2016年については、受信料は物価スライドに応じて各世帯平均1ユーロ程度の増加にとどめるとした。徴収対象については、機器の確定がまだ出来ていないという理由で、当面見送りとなった。

一方で「電気通信税(2009年からフランス・テレビジョンの広告収入の減少分の補完として設定されたインターネット接続事業者の売上高への課税)」については、徴収割合が売上高の0.9%から1.2%に引き上げられる。この措置について、通信事業者は強く反対の意を表明しているが、文化・コミュニケーション省では、この措置を公共放送の赤字を一般の人々が背負う事態を避けるためとしている。通信事業者が増税分を消費者料金に加算するのではないかという危惧については、この数年の料金競争の激化と契約期間なしのサービスプランの増加から、加入者が容易にプランを乗り換えるようになっているため、事業者は増税に従う料金引き上げで加入者を失うことは避けるであろうとしている。

なお、オランド大統領は、9月7日の報道関連者向けインタビューで、公共放送救済には受信料の徴収対象拡張よりも広告放送の増加が望ましいと述べた。同氏は財務相等とともにフランス・テレビジョンの夜間の広告放送復活について検討中であり、結果は2016年政府予算発表時に明らかにするという。