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2015.02

  • フランス
  • セキュリティ、プライバシー
内務省、テロ関連サイトのブロックに関する政令を公布

仏内務省は2月5日、「テロ行為を誘発、あるいは賞賛する内容をもつ、あるいは児童ポルノに類する画像や描写を掲載する」サイトのブロックに関する政令を公布した。

この政令公布の背景には、過激派組織「イスラム国(ISIL)」による各国へのテロ行為の深刻化がある。仏首相は同組織によるとみられるパリ新聞社襲撃事件直後の1月13日、内務省に向けて、同20日までに、「テロ行為の実行を可能にする集団の結成、成員間の連絡、武器等の入手」がネット上で行えないようにするための提案を求めていた。

これに対して、仏国内の主なWebサービス事業者(Google、Facebook、Deezer、Dailymotion等の22社)が構成する仏インターネットサービス協会(Asic)は14日に、首相の発言はテロ防止を理由に政府がインターネット統制を行うことを是認するものであるとして反対の意を表明している。しかしながら、その後のISILによる日本のジャーナリストの拉致・殺害で、犠牲者の映像がネットに流される等の事件が、内務省が政令公布に踏み切る契機となった。

政令の内容は、サイトの編集あるいは運用主体が、テロリスムを扇動する内容のコンテンツの掲載につき、関連政府機関の警告を受けたにも関わらず、指摘されたコンテンツのサイト掲載を続けた場合、当該のサイトのアドレスのリストがネット接続事業者に通知される。サイトの指定やリストの作成等の担当部署は、内務省国家警察総局情報通信関連犯罪対応室である。通知に従い、事業者は24時間内に指定サイトへのアクセスをブロックする。なお、ブロック後に指定サイトへのアクセスを試みたユーザの画面には、サイトのブロックの主旨を記述した内務省の通知が表示される。

この問題に対して、この政令では、コンテンツのブロックの是非については、アドレスのリストが国家個人情報保護機関(CNIL)の指定する識者の元にも送付され、その意見を仰ぐという形式をとるという措置を提示している。

CNILは1月26日に、「ネット上に公開される莫大な量のファイルから、テロ関連のものを選別して事前に公開を禁止するのは不可能」という見解を表明しつつも、昨今の状況を鑑みて、何らかの規制が必要な状況に至っているとはしている。CNILによれば、「言論の自由」に抵触せずに、サイトの規制が有効に機能するためには、欧州全体の関連機関の協力に基づき、監督機関の権力濫用を防止し、透明性の高い枠組みを形成することが必要であるという。