[HTML]
H1

詳細ページ

お知らせ表示

2013.05

  • フランス
  • スマート社会
オランド政権のICT利活用政策

2012年5月に仏大統領に就任したオランド氏は、2013年3月、デジタル社会化ガイドライン「デジタル化に関する政府活動ロードマップ」を発表した。このガイドラインでは今後のデジタル社会化の主要政策として18項目が挙げられている。

サルコジ前政権も2011年末に包括的なデジタル社会化政策「フランス・デジタル2012-2020」を発表している。「デジタル化に関する政府活動ロードマップ」は、「フランス・デジタル」と基本的な目標を共有しつつも、昨今の社会情勢と政権(社会党)の基本方針に合わせて優先課題を絞り込み、各政策に具体的対応策を付記したものと位置付けられる。重点課題については、産業振興が前面に出ていた「フランス・デジタル」に比べ、欧州経済危機と雇用不安が広がる中で、教育・医療・電子政府等、国民の生活に直接関わる部門の充実が目指されているのが特徴である。

18の政策の表題は以下のとおりである。
(1) デジタル化による若年層の教育・就業機会増大
政策1:学校教育プログラムにデジタル関連教科を導入
政策2:義務教育の教諭へのICT研修
政策3:「デジタル大学」プロジェクトの開始
政策4:デジタル人材育成
政策5:デジタル技術による低学歴人材の就業機会増大
(2) デジタル化による国内企業の競争力強化
政策6:「デジタル街」の建設
政策7:デジタル関連の重要技術開発に総額1億5,000万ユーロの助成
政策8:中小企業のデジタル化に総額3億ユーロの貸付
政策9:10年間で全世帯を超高速ブロードバンドに接続
(3) 仏デジタル社会・経済の価値の向上
政策10:「公共デジタルスペース」の開発
政策11:デジタル機器取扱等に関する各種能力証明取得の推進
政策12:ICT企業に対する税及び付加価値税制の改革
政策13:デジタル社会における個人の権利と自由の保護を立法化
政策14:文化財のデジタル化
政策15:政府データのオープン化推進
政策16:電子身分証明書戦略の再構築
政策17:デジタル技術を用いた医療サービス提供体制改革
政策18:インターネット監視システムの流出の管理

「デジタル化に関する政府活動ロードマップ」発表後、最初に注目を浴びた分野は医療関係である。上記の政策17は、2010年からの先端産業育成プログラム「未来への投資」の枠組みで、3-5のパイロット地域での医療のデジタル化プロジェクト(インターネットを経由した在宅診療、疾患情報共有、病院運営における資源配分の最適化、医療情報セキュリティシステムの改善等)に総額8,000万ユーロの助成を行うと規定している。3月25日には、「未来への投資」のeヘルス分野で第2次のプロジェクト選定が終了、医療機器メーカーを中心とした遠隔診断や在宅医療機器関連の合計14のプロジェクトに対し、総額2,300万ユーロの助成が決定した。

4月25日には、上記政策7に基づき、「未来への投資」におけるこれまでの重点8分野(クラウド・コンピューティング、コンテンツのデジタル化、埋め込みソフトウェア、eヘルス、通信網のセキュリティ確保、インテリジェンス・システムを用いた輸送、デジタル都市計画、電子教育)に加え、新たに以下の4分野を総額は1億5,000万ユーロの助成対象とし、2013年中にR&Dプロジェクトの公募を開始するとした。

  • ファームウェア及びコネクテッド・オブジェクト技術開発
  • デジタル・シミュレーション及びスーパーコンピューティング技術開発
  • ビッグデータ利用ソリューション
  • 情報システムのセキュリティ確保技術