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2015.07

  • フランス
  • ブロードバンド・ICT基盤整備
首相が「国家デジタル化戦略」を発表

仏首相Valls氏は6月18日、経済成長、雇用の伸長及び国際社会での地位強化の鍵は官民双方のデジタル・サービスの発展にあるという認識の下、「デジタル共和国」を目指す戦略計画を発表した。この計画は、4つの主目標の下に14の政策とそれぞれの政策の実現のためのアクションを提示している。主目標と各政策の概要は以下のとおりである。

主目標
  • イノベーションの自由:成長の原動力としてのデジタル産業の活力を最大限に引き出す。
  • デジタル社会での権利の平等:市民とその個人情報の保護。
  • デジタル・ディバイドの解消:年齢、居住地、収入にかかわらず国民すべてにデジタル・サービスを提供。
  • デジタル・サービス提供モデルとしての国家:公的サービスの改善のため、政府機構をデジタル化。
政策
  • ICTベンチャー支援プログラム「French Tech」の強化と国際化:デジタル化庁と国営の企業融資機関の連携により、プロジェクト助成や国際見本市への出展等支援等を実施するとともに、優れた国外ベンチャーの誘致を活発化
  • 公益に資するデータの開示:公的機関のみならず、一般企業からも公益性の高いデータを提出、利用層に合わせて多様なアクセス方法を提示
  • 大企業とベンチャーの協力によるオープン・イノベーションの推進:様々な規模の企業がICT関連の起業を積極的に支援、提携を推進し、リスクを共有
  • 中小企業のデジタル化:デジタル・サービス事業者の中小企業向け商品開発を支援、中小企業のインターネット・サービス利用を活発化
  • 科学研究成果・データの流通の自由化:科学技術論文・データのアーカイブを作成。アクセスを自由化
  • 途上国の技術革新プロジェクトの支援:フランス語圏を中心に途上国の技術開発プロジェクトへの専門家派遣、研修サービス等を通じて、デジタル化の国際エコシステムを形成
  • 建造物のデジタル化:2,000万ユーロの基金を設置、地方自治体等との協力に基づき、低コストで既存の建造物をデジタル化する技術の開発や普及を推進
  • イノベーションを阻害しない消費者保護プラットフォームの構築:国レベルでデジタル・サービス提供の原則を規定し、適宜関連法典を改正
  • 社会的弱者のデジタル・サービス利用推進:高齢者や求職者がデジタル・サービスを利用できる場を随所に設け、それぞれの場所にインストラクターを派遣
  • 教育デジタル化計画の展開:自治体予算で小中学校へのデジタル機器設置を推進(2015年は200の中学校と340の小学校が対象)、デジタルスキル習得環境を整備
  • 政府のデジタル・サービスへのベンチャー手法導入:小規模チームによる短期間での効率的なビジネスというベンチャー型手法で、2017年までに12の政府サービスのデジタル化プロジェクトを達成
  • 未来型医療計画の展開:デジタル化、テイラーメイド医療、バイオセラピーに関する普及プロジェクトを一本化、2015年秋に今後3年間のロードマップを完成
  • 求職者向けサービスプラットフォーム「雇用ストア」開設:求職者と雇用に関するアプリ開発者の便宜のため、求人、関連プログラム開発、就労情報交換、企業との連絡に関する4つのプラットフォームを構築、無料で開放
  • デジタル関連高等専門学校の設立:出身地や学歴にかかわらず若年層に無料で高度なデジタル専門技術を教授する専門教育機関を設置

なお、首相の戦略と同時に、政府のデジタル化関連政策の諮問機関である国家デジタル化委員会は、70項目の提言を含む報告書「デジタル化への意思」を提出した。この報告書は、インターネットを公的な場と位置付け、オープンデータ、オープン・イノベーション推進の方向性を明らかにしている。

また、仏電子通信・郵便規制機関(ARCEP)は6月25日、「国家デジタル化戦略」に合わせて、今後の規制の中心を競争市場調整からデジタル化への投資振興にシフトする方針を明らかにした。今後の政策的重点分野として、ARCEPはIoT及びスマートシティ、移動体通信網の事業者間共有、地方自治体の主導するFTTHサービスのアクセス料金、銅線網の相互接続料金、中小企業との対話の推進、個人情報保護機関との連携、ネットワークカバレッジの一般への周知、「欧州単一市場」への協力を挙げている。