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2015.08

  • フランス
  • 事業者のM&A・国際展開
2015年夏の仏事業者M&A動向

近年総合通信市場シェア第1位のオレンジ(旧フランス・テレコム)とメディア・コングロマリット・グループVivendiは、それぞれの子会社の株式の売却や他社の株式の取得を年に数回の割で実施している。2015年7~8月にも、国外の事業者との間で、幾つかのM&A関の動きがあったが、2つのグループの意図する進出地域は対照的である。

オレンジは、近年欧州市場での業績が沈滞気味であるのに対し、中東・アフリカ地域での加入者と売上高の伸長が順調であるところから、この地域での進出国の増加に期待をかけている。7月20日には、印Bharti Airtelのアフリカ事業子会社Bharti Airtel Internationalと、4か国の移動体通信事業買収について排他的交渉を開始した。対象地域はブルキナファソ、コンゴ共和国、シェラレオネ及びチャドである。一方では2009年に市場参入したものの、投資に見合う加入者数や収益が得られなかったアルメニア子会社の売却を決定、8月3日に現地ISPのUcomと同社株式100%の買収について合意が成立した。

Vivendiはオレンジとは逆に、メディア・コンテンツ市場での地位固めという見地から、欧州市場への集中化を進行させている。Vivendiは子会社であったブラジルのブロードバンド事業者GVTの全株式を5月28日にスペインの旧国営通信事業者テレフォニカに売却したが、契約の一環として、テレフォニカが有していたテレコムイタリア株式14.9%強のうち、8.24%分を取得した。Vivendiはこの取引に先立って、上場されていたテレコムイタリア株式から、全体の6.66%を入手しており、合計の持分は14.9%、テレフォニカに代わり、テレコムイタリアの筆頭株主となった。

7月30日には、VivendiはGVT株式の売却と交換で所有していたテレフォニカ・ブラジル(ブランド名Vivo)の7.5%分をすべて手放した。7月29日に3.5%分がテレフォニカ本体の株式0.95%分と交換、30日には残りの4%分が8億7,700万US$で同社に売却され、Vivendiはブラジル通信市場から撤退した。Vivendiが2013年から続けてきた欧州外の子会社の売却はこれでほぼ完了したといえる。