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2015.10

  • イギリス
  • 電波関連
英国でQualcommが1.4GHz帯(Lバンド)をVodafoneと3UKに売却

Qualcomm UK Spectrum Ltdは2015年6月、1452-1492 MHz(Lバンド)を、Vodafone LimitedおよびHutchison 3G UK Limitedに、それぞれ売却することで合意した。この帯域は、もともと欧州ではデジタルラジオに配分されており、QualcommがモバイルTV(Media-FLO)に使用するために、2008年の周波数オークションで、約830万ポンドで落札したものである。

LバンドはITU無線規則により、欧州を含むITU第一地域は、用途が放送業務に限定されていたが、欧州では下り回線(supplemental downlink: SDL)の無線ブロードバンド用途としても利用できるように、周波数割当計画の変更を行った経緯がある(表参照)。

表 欧州における1452-1492 MHz(Lバンド)の割当経緯
内容
2007年 T-DAB(Terrestrial Digital Audio Broadcasting)へ割当。
2012年 「無線周波数政策プログラム(RSPP)」に基づき、2015年までに1200 MHz幅を無線ブロードバンド用に確保するため、Lバンドを候補帯域に設定。
2014年 CEPT(欧州郵便電気通信主管庁会議)が、地上波放送と無線ブロードバンドとの共用条件を策定。
2015年 欧州委員会がLバンドを無線ブロードバンドに開放することを決定(5月8日)*、EU加盟国は6か月以内(11月8日まで)に国内法制化を実施。
* COMMISSION IMPLEMENTING DECISION (EU) 2015/750)
http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32015D0750&from=EN
出所:各種資料をもとに作成

2015年5月の欧州委員会決定を受けて、英国の通信規制当局Ofcomは同年5月に、Qualcommが保有する Lバンドの免許条件を、無線ブロードバンドへも利用できるように改正した(注1)。加えてOfcomは、Lバンドを含む3つの帯域(1452-1492 MHz、2350-2390 MHz、3410-3600 MHz)を、「2011年無線電信(モバイル周波数取引)規則(Wireless Telegraphy (Mobile Trading) Regulations 2011)」の管理下に置き、周波数取引の対象とすることを決定した(注2)。

こうしたOfcomによる一連の制度改正の動きをにらみながら、Qualcommは2015年6月にVodafoneと3UKへ周波数を売却することで合意し、Vodafoneは1452-1472 MHzを、3UKは1472-1492 MHzをそれぞれ獲得できる見通しがたった。その後3社は、取引の承認を得るために、2015年8月26日に周波数取引規則に従ってOfcomへ取引申請を行った。Ofcomは、当該取引申請が競争を歪める恐れがないか審査を行った結果、既存4社(EE、Vodafone、O2、3UK)のモバイルサービス向け周波数(800MHz、900MHz、1800MHz、2100MHz、2600MHz)の保有量に大きな偏りがないこと、また、当該取引に関する公開諮問で利害関係者から特段の懸念が示されなかったことから、2015年9月22日に当該取引を承認することを発表した(注3)。

Bloombergによれば、今回の取引総額は合計で約2億ポンドにのぼり、欧州で最大規模の周波数取引となったと見られている。なお、イタリアでは、通信規制当局Agcomが未使用だったLバンドを無線ブロードバンドに用途を変更した後、経済開発省が2015年9月にオークションを実施し、TIMが1452-1472 MHzを2億3,030万ユーロで、Vodafoneが1472-1492 MHzを2億3,200万ユーロでそれぞれ落札した(注4)。