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2016.11

  • イギリス
  • セキュリティ、プライバシー
「国家サイバーセキュリティ戦略2016-2021」

英国政府は、11月1日、「国家サイバーセキュリティ戦略2016‐2021」(National Cyber Security Strategy 2016 to 2021)を公表し、同戦略に基づいた取組みを推進するために今後5年間に約19億ポンドを拠出することを表明した。

同戦略では、英国経済及び英国民のプライバシーを保護するための重要な取組みが盛り込まれるとともに、企業に対してサイバー攻撃を防止するための十分な対策を講じるよう求めている。

今回の新たな戦略では、2011年から2015年までをカバーしていたこれまでの戦略の実行のための拠出(約8億5,000万ポンド)のほぼ2倍の財政的裏付けが確保されることになる。今回の新たな戦略は、①防衛、②抑止、③開発という3つの重要な分野ごとの取組みが記載されている。

それぞれの主な内容は以下のとおり。
  • サイバー攻撃に対する政府自身の対策の強化とエネルギーや交通をはじめとする重要インフラにおける業界の適切な取組の確保。これらの実現のため、たとえばハッカーによるサイバー攻撃の影響の低減やコンピュータウィルス・スパムメールの防止のための自動防御技術を活用した官民連携。
  • サイバー空間において英国の脅威となるものに対処するための投資。サイバー犯罪に対する法執行体制の強化や国際的なパートナーシップの構築。(今年だけでも50名以上の国家サイバー犯罪ユニットで働いていたサイバー犯罪調査官や専門技術者を採用など)。
  • 次世代の学生や専門家といった人材育成への投資の増加。スマートフォンやタブレット、ラップトップのセキュリティについて研究するバーチャルな英国の大学の集合体である「サイバーセキュリティ研究所」の創設。既に取り組まれているサイバー実習生制度や上級サイバーセキュリティ教育といった最先端の技術や教育イニシアティブを基にした取組み。英国西部チェルトナムでの英国初のサイバーセキュリティイノベーションセンターや革新的な技術や製品を開発するためのサイバーイノベーションファンド(サイバー関係のスタートアップ企業や研究者が最先端の研究を商品化したり民間セクターからの投資喚起をサポートするための財政的支援)の創設。

なお、世界経済フォーラム2016のグローバルリスク報告(World Economic Forum's 2016 Global Risk Report)によれば、サイバー空間における犯罪対策に要するコストは世界で約4,450億ドルと見込まれており、サイバーセキュリティは世界のビジネスにおいて最大の脅威の一つになっている。

そのため、英国のサイバー空間の安全を維持するために同戦略に位置付けられる取組みは、将来の英国経済にとって非常に重要であり、また、家庭や自動車のデバイスや航空機の管制、電力網といった日常生活におけるサイバーセキュリティの重要性、サイバー攻撃によるプライバシーや国家の安全保障上の脅威、今後の産業戦略におけるサイバーに関連するアプローチの重要性について言及するとともに、こうした取組みにより英国は世界をリードするデジタル国家であり続けるとしている。