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2016.06

  • EU
  • 放送・メディア
欧州委員会、視聴覚メディアサービス指令の改正案を提出

2016年5月25日、欧州委員会はデジタル単一市場戦略の一環として視聴覚メディアサービス指令(AVMSD)の改正案を提出した。1989年の「国境なきテレビ指令」、そして同指令の改正法であるAVMSDにより文化の多様性やEU域内のコンテンツの自由な流通は確保されてきた。だが、ネットフリックスやMUBIのようなビデオ・オンデマンド・サービスや、YouTubeやデイリーモーションといった動画共有プラットフォームを利用する人々が急増する中、文化の多様性、視聴覚関連の規制機関の独立性、放送局の柔軟性など、現状に対応する法律が必要であるという認識に基づきこのたび改正案が提出された。

AVMSDの改正案には、すべてのメディア事業者にとっての公正な競争環境の創出、欧州制作作品の振興、有害コンテンツからの児童の保護、ヘイトスピーチ対策強化などが盛り込まれている。また、オンラインプラットフォーム事業者に対する新たなアプローチに関する条文も盛り込まれている。

今回の主な改正点は以下のとおりである。

  • 有害コンテンツに対する動画共有プラットフォーム事業者の責任の在り方:有害コンテンツから青少年を保護し、ヘイトを煽るコンテンツからすべての市民を守るために大量のコンテンツの分類などを手掛けることを各事業者に求める。
  • 各国の視聴覚関連規制機関の権限強化:EU加盟28カ国のメディア規制機関で構成されている欧州視聴覚メディアサービス規制者グループ(ERGA)の役割を明記する。
  • 欧州のクリエイティビティの活性化:テレビ放送事業者には放送時間の約半分を欧州で制作された作品に割り当てることを求める。オンデマンド事業者に対してはカタログに掲載するコンテンツの20%を欧州制作作品に割り当てることを求める。
  • テレビ広告の柔軟性:広告の放送時間について、現在は1時間あたり12分を超えてはならないと規定されているが、制限範囲を1日全体に拡大し、放送事業者がより柔軟に選択できるようにする。