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2015.06

  • EU
  • セキュリティ、プライバシー
欧州で高まる米ネット企業への批判

EUは、米国企業がインターネット市場を支配することへの警戒を強めている。欧州委員会は5月6日、2015年内にグーグルやフェイスブック、Amazonなどのインターネット事業者の欧州での事業活動について大規模調査を開始する方針を発表した。調査は、検索結果の透明性や料金体系、事業者が取得するデータの利用形態、他の事業者との関係、自社サービスの優遇など広範囲に渡る。2015年上期の動きをまとめた。

グーグル
個人情報保護を扱うフランスの独立行政機関CNILは、6月12日、米グーグルに対し、「忘れられる権利」を認定した2014年の欧州司法裁判所の判決をEU内のサイトだけでなく、世界のサイトにも適用するよう指示。15日以内に全てのサイトで判決への対応を見せなければ、最大30万ユーロの一括罰金を含む罰則が適用される可能性があると示唆した。これに対し、グーグルは、この判決が適用されるのは「Google.de」などEU内で運営しているサイトだけで、「Google.com」をはじめとするEU外のサイトで「忘れられる権利」に対応する必要はないと主張している。

グーグルは、4月27日、欧州の新聞社8社と提携する「デジタル・ニュース・イニシアチブ」を発表した。同社は、この取組みの下、3年で1億5,000万ユーロを投資する「イノベーション基金」を設け、新聞社の商品開発を支援する。同社は必ずしもうまくいっていなかった欧州新聞社との関係を修復するため、今後は欧州全域の新聞社のワーキンググループとともに収入、トラフィック、読者とのエンゲージメントを増やす商品開発を進めていく。このイニシアチブには、英国のガーディアン、フィナンシャル・タイムズ、ドイツのFAZ、フランスのレゼコーなどが参加する。

EUは、4月15日、グーグルがインターネットの検索結果を操作して自社ショッピング・サービスを優遇しているとして異議告知書(Statement of Objections)を送付したと発表した。また、Androidについても競争法違反で調査を開始する。グーグルはこの告発に対して、10週間以内に対応するよう求められている。欧州委員会は、競争法違反に対して最大で年間売上高の10%に相当する額の罰金を科すことができ、グーグルの場合、罰金額は最大66億ドルに達する可能性がある。

独ハンブルクのデータ保護当局は、4月8日、グーグルに対しユーザの個人情報の収集・解析と、これら情報の使用についてユーザの管理権限を拡大するよう命令した。今回の命令はハンブルクだけでなく、全国に適用される。グーグルが命令に従わない場合は罰金を科されることになる。

イタリアのデータ保護当局は、2月20日、グーグルとプライバシー保護方針で合意したと発表した。グーグルは、2016年1月15日までにイタリアの国内法への適合を行い、その一環として、プライバシーポリシー改善、ターゲット広告のオプトアウト手段導入、ユーザデータ保管期間の開示を義務付けた命令に対する適合状況を定期的にチェックし、四半期毎にイタリア・データ保護当局に報告を提出することに同意した。

英国のデータ保護当局(ICO)は、1月30日、グーグルと同社の個人情報の取扱いについてユーザへの説明を改善することに同意した。ICOは、グーグルに対して6月30日までにプライバシーポリシーを変更し、今後2年でさらなる改善を進めていくことを約束する正式な合意文書に調印することを義務付けた。

アマゾン
欧州委員会は、6月11日、アマゾンの電子書籍事業について、独占禁止法違反の疑いで正式調査を開始した。同社は既にルクセンブルクでの税優遇措置について調査を受けているが、今回は、出版者との契約に競合他社に有利な条件を提示した場合はアマゾンにもその内容を知らせるよう義務付ける条項があることが問題視された。同委員会は、この条項が、市場の支配的立場を乱用し、商行為を制限することを禁止したEUの反トラスト規則に違反する可能性があると指摘した。

欧州委員会のマルグレーテ・ヴェスタエアー競争政策担当委員は、3月26日、アマゾンなどの電子商取引事業者が国境間貿易を制限することでEUの反トラスト法に違反していないかを調査すると発表した。EU内で消費者が国境を超えて商品を購入することを妨げる契約その他の面での障壁がないかどうかについて、製造業者や地上波放送事業者、オンライン・プラットフォーム運営事業者なども含めた幅広い範囲で調査を進める。

フェイスブック
ベルギーのプライバシー保護委員会は、6月15日、フェイスブックのユーザ追跡や非加入者の待遇について民事訴訟を提起した。同委員会は、フェイスブックが加入者やその他のインターネットユーザの個人情報を事前の同意やデータをどのように使用するかについての十分な説明なしに収集していたことを問題視。また、欧州本社の所在するアイルランドのデータ保護規則にのみ適合していればよいとする同社の姿勢を厳しく批判した。