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2016.06

  • EU
  • スマート社会
欧州委員会、新ガイドラインでシェアリング・エコノミーへの過度な規制を牽制

欧州委員会は、6月2日、AirbnbやUberのようなシェアリング・エコノミー型サービスに対してより寛容な姿勢を示すように求めるガイドラインを発表した。このガイドラインの中で、シェアリング・エコノミーへの規制は公益に見合う形で行うべきであり、それらに対する制限や禁止は最終手段とすべきとの見解を示した。

具体的には、ホテルやタクシーなどの既存産業を保護するためにシェアリング・エコミーを全面的に禁止するのではなく、例えば、民泊の宿泊日数に制限を設けるなど、段階的に解禁するよう求めている。

このガイドラインは法的拘束力こそないが、欧州委員会はこれを今後EU加盟国が検討する国内法案がEU協定に適合しているかどうか判断する際の材料にするとしており、シェアリング・エコノミーへの過剰な規制を牽制している。

欧州の一部の自治体は、ホテルやタクシーなどの既存産業と競合するこのようなシェアリング・エコノミーに対して、禁止・制限措置を取るところもある。Uberはフランス、ドイツ、スペインでの同社に対する規制に苦情を提出しており、欧州委員会はこれについて調査を開始した。欧州委員会のヴィオレタ・ブルツ運輸担当委員は、一部の規制はEU法に抵触する可能性があり、委員会が対応に乗り出さねばならないかもしれないと語っている。

◇ベルリン裁判所、民泊禁止条例を支持
ベルリンの行政裁判所は6月8日、Airbnbなどの民泊を禁止した条例を支持する判決を下した。

ベルリン市内では、1万~1万4,000のアパートがAirbndやWimdu、9flatsなどの民泊サイトに登録。多くの家主が収益を求めて民泊ビジネスを始めたことで、住宅不足とそれに伴う家賃上昇が社会問題となっている。この状況を受けてベルリン市政府は2014年に民泊禁止条例を制定し、2年間の猶予期間を経て、2016年5月1日に施行開始した。これに民泊事業者のWimduが住居者の権利を侵害しているとして、市政府を提訴していた。

新条例は、民泊を全面的に禁止しているわけではなく、民泊スペースが50%以下の場合はこれまで通り民泊として部屋を貸し出すことが可能。一方、住宅をまるまる貸し出す場合には行政の許可が必要となるが、そのためには住宅そのものを民泊向けに改装し、住居として使用できないようにするなど、厳しい規定をクリアしなければならない。違反者には最大10万ユーロの罰金が科される。

一方、パリでは民泊として部屋を貸し出す場合、貸出期間の累計が120日未満であれば特別な行政手続きは必要ない。違反者した場合、最大2万5,000ユーロの罰金が科される。今年3月にはAirbnbはパリ市と協力して、違法民泊の撲滅に取り組むと発表。また、昨年10月にAirbnbはパリ市の観光税(1人1泊当たり83セント)徴収を代行するサービスを開始し、今年1月までの3ヶ月で約120万ユーロの税金回収に成功している。