2017年1月10日、欧州委員会は、デジタル単一市場戦略の一環として、EUのデータ・エコノミーの発展を目的とした政策および法的解決策に関するコミュニケーションを公表した。
欧州委員会は、法的および技術的な障壁によってEU域内における自由なデータ流通が制限されており、データ産業の有する潜在力は十分に発揮されていないと認識している。こうした認識に基づき、EU域内の中小企業やスタートアップ企業がIoT事業などの新たなビジネス機会で成功するためにも国境を越えるデータに対する不当な制限や、法的な不確実性を解消する汎欧州的なアプローチが必要であると欧州委員会は指摘している。
コミュニケーションでは、利害関係者間での国境を越えたプロジェクトへの関与が提示され、コネクテッドカーや自動運転のプロジェクトを通じてデータのアクセスや責任に関する規制の実行に向けた含意の獲得を狙いとして掲げている。法的な不確実性の問題については、データアクセスと転送、データを基盤とする製品やサービスにかかわる責任、データ・ポータビリティといった項目が争点として挙げられている。
EUの2015年のデータ産業市場は年間成長率5.6%、2,720億ユーロ規模と推計されており、2020年には740万人の雇用創出が予測される。さらにEUのデータ市場を制約するような各国のデータ・ローカライゼーションを取り除くことで、年間最大80億ユーロの付加価値額が創出されると試算している。
このたびの各種提案とあわせて、欧州委員会はEU加盟国および利害関係者とデータ・エコノミー分野の諸課題について話し合うパブリック・コンサルテーションを立ち上げた。意見募集期間は2017年4月26日までとなっている。