ポルトガル・テレコム(PT)と同社の出資先であるブラジルのOiは、10月2日、合併することに合意した。ブラジルを本拠とする新会社「CorpCo」を創設し、2014年前半までに合併を完了する計画である。両社を合わせた加入者数は1億人以上となり、年間売上高は170億ドルを超える。
欧州と中南米の電気通信事業者間の大型合併としては、メキシコのアメリカ・モビルによるオランダのロイヤルKPN買収計画が発表されており、欧州内では、スペインのテレフォニカがテレコム・イタリアの持ち株比率を46%から66%に引き上げる計画を発表。今回のPTとOiの合併も加え、国際的な電気通信業界統合の波がやって来ていることをうかがわせる。
PT、Oiはいずれも事業が順調とはいえない状況。Oiは固定電話・ブロードバンドサービスではブラジル最大手、また携帯電話では同第4位の事業者であるが、多額の負債を抱えながら、競争力維持のために投資を続けなければならない状態。PTは、ポルトガルという比較的小さな市場で不景気の影響を受けながら苦闘している。
PTは、1998年のブラジル電気通信事業民営化当時からいち早くブラジル市場に参入。テレフォニカとともにサンパウロの固定回線事業を買収し、同国移動通信最大手のVivoを育てた。同社は、2010年にテレフォニカとの合弁事業を手放し、収益の半分を使ってOiの25%を取得。OiもPTの10%を取得している。
新会社にとっても、ブラジルは主要な収入源であり続け、売上の約75%はブラジルでの事業が占める見込み。ブラジルのパウロ・ベルナルド通信大臣は両社の合併について、反トラスト的な問題は見当たらないとしている。
国家電気通信庁(Anatel)によると、2013年8月末現在、ブラジルの携帯電話の加入者総数は2億6,844万で世界第5位。普及率は135.5%。プリペイド加入者の割合は79%。無線ブロードバンド(3Gと4Gを含む)の加入者数は8,531万で、このうちLTEモバイル端末は39万8,622万。
市場シェアについては、Vivoが28.7%、TIMが27.1%、Claroが25%、Oiが18.6%。Vivoはテレフォニカの、TIMはテレコム・イタリアの、またClaroはアメリカ・モビルのそれぞれ傘下となっている。