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2016.06

  • アメリカ
  • 電波関連
米国における5.9GHz帯の免許不要利用への開放に向けた検討

◇検討の背景
連邦通信委員会(Federal Communications Commission:FCC)は2016年6月1日、5.9GHz帯の75MHz幅(5.850-5.925MHz)を免許不要利用に開放する案について公開諮問を発表し、意見募集を開始した(注1)。5.9GHz帯は1999年に、路車間通信(vehicle to infrastructure:V2I)や車車間通信(vehicle to vehicle:V2V)向けにDSRC(Dedicated Short Range Communications)用途として割り当てられたものの、これまで利活用が進んでいなかった。

図1 既存の5.9GHz帯のDSRCバンドプラン
出所:FCC

そのため、全米ケーブル・電気通信協会(National Cable & Telecommunications Association:NCTA)等は、スマートフォン等によるWi-Fiへの依存度の高まりに対応するため、DSRCの帯域をWi-Fiにも開放するようホワイトハウスに求めていた。これに対して自動車業界は5.9GHz帯のWi-Fiへの開放に反対する書簡をホワイトハウスに送り、運輸省長官のAnthony Foxx氏はWi-Fiとの周波数共用によってDSRCへの混信が引き起こされないことが技術的に検証されるまではWi-Fiへの開放は控えるべきとの考えを表明していた。

◇二つの共用提案
FCCの公開諮問文書には、DSRCとWi-Fiの共存方法について、二つのアプローチが提案されている。一つが「検知及び回避(detect and avoid)」アプローチで、DSRC信号の存在を検知した場合、Wi-Fiの使用は認められない。もう一つが「チャンネル再編(re-channelization)」アプローチで、既存のDSRCバンドプランを再編して、上の帯域の30MHz幅(5.895-5.925MHz)を衝突防止等の安全に係る通信向けにDSRC専用に割り当て、下の帯域の40MHz幅(5.855-5.895MHz)は交通情報やナビゲーション等の非安全アプリケーション向けに割り当ててWi-Fiとの共存を認める。「検知及び回避」アプローチはCiscoが提案するもので自動車業界の支持を得ている一方、Qualcommが提案する「チャンネル再編」アプローチは特にケーブルテレビ業界の支持を得ている(注2)。

図2 「チャンネル再編」アプローチに基づいたDSRCバンドプラン
出所:FCC