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2017.12

  • アメリカ
  • 放送・メディア
FCC、ATSC 3.0の自主導入認める案を採択

FCCは11月16日、地上波放送事業者が米国の地上デジタルテレビ放送方式「ATSC(Advanced Television Systems Committee)」の次世代規格である「ATSC 3.0」を自主的に運用開始することを認める案を採択した。採択に伴い、ATSC 3.0の運用を開始する地上放送局には、現行規格と新規格の両方の放送を5年間維持することが義務付けられる。

ATSC 3.0はIP(Internet Protocol)との親和性が高いため、放送と通信を連携させたサービスの実現を容易にすると考えられている。具体的には、高精度の位置情報確認や超高画質、よりインタラクティブな番組の提供が可能になるほか、その「精密な放送(precision broadcasting)」によって、街路単位にターゲットを絞り、暴風雨の経路や避難経路等の情報を盛り込んだ緊急警報を発信することも可能となる。

地上波放送事業者等は今回の採択に先駆けてATSC 3.0導入に向けた取組みを開始している。例えば、全米放送事業者協会(NAB)がトリビューンの所有するFox系列局「WJW(チャンネル31)」の周波数をATSC 3.0のテストに利用できる実験用免許を取得しているほか、地上放送大手のシンクレア(Sinclair)とネクスター(Nexstar)は2017年3月にATSC3.0を活用するコンソーシアムを結成し、同規格によるイノベーションの促進、関連製品・サービスの開発、周波数の効率的な利用や仮想多チャンネル映像番組配信事業(MVPD)、マルチキャスト、自動車への応用などに取り組んでいくことを発表している。

一方で、AT&Tやベライゾンなどは、ケーブルや衛星等の有料放送事業者がATSC 3.0の送受信にかかる多大な費用を加入者に被らせようとしているとして懸念を表明している。また、下院のデビー・ディンゲル民主党議員は、この新規格を用いたターゲット広告が検討されているとして、それに必要な情報を広告業者や地上波放送事業者がどのように消費者から収集するのかという点に懸念を表明している。