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2015.08

  • アメリカ
  • セキュリティ、プライバシー
自動車のハッキング防止法案提出

民主党のエドワード・マーキー、リチャード・ブルメンサール両上院議員は、7月21日、自動車のコンピュータ・システムに対するハッキングを防止するための法案を提出した。

「Security and Privacy in Your Car Act(通称:SPY Car法案)」は、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)とFTCに、自動車のコンピュータに対するハッキングを防ぐ基準を策定するよう指示。また、ドライバーが自分の運転する車がどの程度、サイバー攻撃から守られているかを評価する「サイバー・ダッシュボード」を作るよう求めている。

同法案には、(1)重要な車内ソフトウェア・システムをハッキングから守るため、他のシステムと隔離し、コンピュータに保管される全てのデータを保護するとともに、ハッキングをリアルタイムで検知・報告できる技術の搭載を義務付け、(2)自動車の所有者にどのようなデータが運転中に収集・転送されているかを開示し、所有者がデータ収集・保管を拒否できる仕組みを導入、(3)収集したデータを所有者の同意なく広告、マーケティング目的に用いることを禁止など、が盛り込まれている。

7月24日には、フィアット・クライスラー・オートモービルズがハッカーの攻撃により車載システムが遠隔操作されるおそれがあるため140万台をリコールすると発表。研究者によるクライスラー車を乗っ取る実験で、クライスラーのソフトウェア「Uconnect」に複数の脆弱性が発見された。「Uconnect」は、車内エンタテインメント、ナビゲーション・システムを制御したり、通話、Wi-Fi通信を提供するもの。研究者は、ラップトップと携帯電話を使って自動車の操縦システムをハイジャックする実験に成功したという。

一方、米国自動車工業会(Alliance of Automobile Manufacturers)と国際自動車工業協会(Global Automakers)は、7月14日、メンバー企業がサイバー脅威に結束して対応するため情報共有・分析センター「Auto ISAC」を創設することに合意した。Auto ISACは、サイバー脅威情報や自動車の電子部品、車載ネットワークに関連する脆弱性についての情報を適時共有するための中心的存在になるという。

この他、NHTSAは、7月20日、グーグルなどの自動運転車の公道走行を念頭に、連邦自動車安全基準(FMVSS)の見直しを検討していると発表。NHTSAのマーク・ローズカインド局長は、「テスラの自動操縦システムやGMのスーパークルーズ・システムなどの実用化に影響を及ぼす可能性がある規則がリストアップされ、見直しが行われている」と述べた。さらに、自動運転に対する連邦、州の規則の境界がどこにあるかはまだ明確ではないが、最終的にNHTSAが自動運転車の安全性を監督し、どのような規則が適用されるかを判断することになると強調した。

ミシガン大学の自動運転試験場が開設
ミシガン大学は、7月20日、自動運転を試験するための試験場を開設したと発表。「Mcity」と名付けられた32エーカー(おおよそ東京ドームの2.8倍)の試験場は、高速道路から市街路まで備えた小さな町を模しており、全ての自動運転開発者に開放される。

ミシガン大学とミシガン州運輸省が総額1,000万US$をかけて設立した同試験場には、フォード、GM、トヨタ、日産、ホンダなどの大手自動車メーカーの他、ベライゾン、クアルコム、ゼロックス、デンソーなどの通信・IT企業も資金提供(3年間で各社100万US$)している。

ミシガン州南東部やミシガン大学は、多くの有能な研究者や企業技術センター、テスト施設を抱えており、ミシガン大学のあるアナーバー市では車両間通信機能を搭載した3,000台の車のテスト走行も行われている。