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2016.06

  • アメリカ
  • ブロードバンド・ICT基盤整備
連邦控訴裁、ネット中立性規則を支持する判決

2010年から連邦通信委員(FCC)が策定を続けてきた「オープン・インターネット規則」(ネット中立性規則とも呼ばれる)は、2015年2月に内容が公表された。

同規則では、ISPによるインターネット接続を「通信法」第2編に分類を変更し、電気通信サービスとして扱うことが盛り込まれた。これにより、ISPが特定のウェブサイトに有償で優遇措置を与えることが禁止され、ISPが自社系列のトラフィックを優遇することも禁止されるが、商業的恩恵が考慮されない「合理的なネットワーク管理」については寛大な対応を取るものとなっている。また、FCCは、インターネットが日々変化しており、将来の不正行為に対応する広範な基準を必要とするとして、ISPが消費者、コンテンツ・プロバイダに害を与えることを防ぐ「開放的なインターネットのための全般的な行為基準」も策定するほか、ネットワーク相互接続についての苦情を審査する権限も確立する。同規則案では、固定回線ブロードバンドだけでなく、モバイル・ブロードバンドも適用対象となる。

FCCは、インターネットの分類変更にあたって第2編で適用されている多くの規則は施行を差し控えるが、合法的なウェブサイトやサービスへのアクセス・ブロック、通信速度の引き下げ、有償優遇措置を禁止する「不公平で不当な行為」の禁止規則のほか、消費者からの苦情処理やプライバシー保護、障がい者保護、電柱や導管への公平なアクセスに関する規則は適用する。なお、新規則は、ブロードバンド・プロバイダのユニバーサルサービス基金への納付は義務付けない。

同規則について、ブロードバンド事業者らが、連邦控訴裁に提訴していたが、2016年6月14日、DC連邦控訴裁は、FCCのネット中立性規則が合法であるとの判決を下した。同判決では、「通信法」第2編への分類と、モバイル・ブロードバンド・プロバイダも規則適用対象としている点について問題がないと判断し、同規則が憲法、行政手続きを定める法律に抵触するところはないとした。また、原告は、規則の一部は憲法修正第1条項に抵触する等を主張していたが、控訴裁は、原告の主張を全て退けた。

FCCトム・ウィーラー委員長は、同判決はウェブ全体への制限のない自由なアクセスを享受する消費者とイノベーターのための勝利とし、インターネットが比類のないイノベーション、表現の自由、そして経済成長の土台としてあり続けることを保証するものとしている。