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2016.11

  • アメリカ
  • 放送・メディア
AT&T、タイムワーナーを買収へ

通信最大手のAT&Tは10月22日、テレビ・映画番組制作大手のタイムワーナーを854億ドルで買収することに合意したと発表した。AT&Tは、タイムワーナー株1株に対して107ドル50セントを支払い、タイムワーナーの負債を含めた取引額は1087億ドルとなる。

エンタテイメント市場への参入を拡大しようとしているAT&Tは、この買収により、CNN、HBO、ワーナー・ブラザースといった有名メディア・ブランドを獲得することになる。ベライゾンがグーグルやフェイスブックと競争するためにターゲティング広告インフラを作ろうとしているのに対し、AT&Tは、エンターテイメント・ビデオ産業に注力する道を選んだといえよう。タイムワーナーのジェフ・ビュークス会長兼CEOは、AT&T傘下になることでタイムワーナーのコンテンツを消費者により迅速に提供することが可能になるとしている。

今回の買収発表を受けて、議会やアナリスト、消費者保護団体等からはすでに懸念の声が挙がっている。買収に対する最大の懸念事項は、移動通信やブロードバンド、ディレクTVを通じて1億人超の加入者を持つAT&Tが、タイムワーナーのコンテンツを提供するにあたり、自社加入者を優遇するのではないかという点にある。

ヒラリー・クリントン、ドナルド・トランプ両大統領候補や民主・共和両党の議員等が電気通信・メディア業界の一層の統合に対し懸念を表明しているほか、元FCC委員/委員長代行で現在はコモンコーズの特別顧問を務めるマイク・コップス氏も今回の買収について「考えられない」とし、メディア業界のさらなる統合はイノベーションを阻害し、消費者の経済負担を増すだけで行政はこれを却下すべきだとしている。また、上院司法委員会反トラスト小委員会委員長の共和党のマイク・リー議員、民主党幹部のエイミー・クロブチャー議員は、この買収について公聴会を開くとの共同声明を発表した。

なお、買収には行政の認可が必要で、FCC、司法省の両方が審査を行う可能性が高い。