ヘイトスピーチに満ちた動画や過激派の動画と共に広告が配信されたとして、スーパーマーケットや銀行、消費者団体など、複数の企業がYouTubeへの広告掲載を停止していることを受け、グーグルがYouTube広告の監視強化に乗り出した。
グーグルは3月17日に事態の調査を開始し、20日に謝罪を発表、21日にはヘイト動画監視スタッフを増員するほか、企業が広告の表示についてより細かく管理できるよう動画広告に関する方針を改定したことを明らかにした。
具体的には、広告検証作業の迅速化や人工知能(AI)を活用した不快なコンテンツの検知といった新しい方針が採用されたほか、広告を流すことができる動画の資格要件基準の厳格化やより多くの動画から広告をブロックするためのガイドラインの拡張が発表された。同社によれば、これまでは特定の人種、宗教、性別に対する暴力を奨励する動画への広告配信を停止していたが、今後はこういった特定のグループを中傷・攻撃する動画全般について広告配信を停止するという。
さらに4月3日には、外部の広告効果測定事業者がYouTube上での広告表示場所を監視し、広告主に状況を報告できるようにすることが発表された。グーグルは広告がユーザ画面上に実際に表示されているかどうかを確認できる機能を既に広告主に提供しているが、第3四半期には広告と一緒に表示された動画を具体的にリストアップし、広告がどの動画と何回表示されたかを確認できる機能も提供する予定だという。加えて4月6日には「YouTubeパートナープログラム(YPP)」が改訂され、再生回数が1万回以下の動画チャンネルへの広告配信中止が明らかになった。
広告が不快な動画とともに表示されたとして同サイトへの広告出稿を控える企業が相次ぐ中での方針変更は広告主に配慮したものと見られるが、動画クリエイターからの反発も予想される。YouTubeは、今回の方針変更は他者のコンテンツを盗用しているチャンネルへの利益還元を防ぐもので、昨年11月から検討していたとしている。これまでのYouTubeの方針では、全ての動画投稿者が自分の動画に広告を表示するかどうかを選ぶことができ、ほとんどは広告表示の資格を満たしていると判断されていた。