[HTML]
H1

詳細ページ

お知らせ表示

2016.05

  • アメリカ
  • 事業者のM&A・国際展開
米ケーブルテレビ業界、再編の動きが活発化

米国では、ケーブルテレビ加入世帯の減少が続いている。FCCが5月6日に発表した映像サービス市場の競争現況年次報告によれば、前年に引き続き加入者が減少傾向にある多チャンネル映像番組配信事業社のなかでも、ケーブルテレビ加入者の減少は顕著で、2013年末の5,510万世帯から2014年末の5,370万世帯に推移したという。一方、Netflixをはじめとするオンライン映像配信業界は成長傾向にある。同時期の電気通信市場者による動画配信サービス加入者は、1,180万世帯から1,320万世帯に増加している。

このような動画配信サービスという新たな動きに対し、ケーブルテレビ事業者は合従連衡を通じた生き残りの道を模索している。

米ケーブルテレビ業界第4位のチャーター・コミュニケーションズは、2015年に同2位のタイム・ワーナー・ケーブル(TWC)および同6位のブライトハウス・ネットワークスの買収を発表し、2016年5月6日に米連邦通信委員会(FCC)、12日にカリフォルニア州公益事業委員会の承認をそれぞれ受けた。これにより、チャーターはTWC及びブライトハウスの買収完了に必要な承認を全て取得したことになる。買収は5月中に完了する見込みで、この合併により、米国第2位のISP、第3位のケーブルテレビ事業者が誕生することなる。

ただし、同合併が反トラスト法に抵触するのではないかとの懸念もあり、司法省はオンライン動画配信事業者による番組の調達を保護するため新会社に条件を課すことを決定している。他方FCCは、新会社がオンライン動画配信サービス市場の成長を阻害する動機を持ち得ると判断し、この危害を防止することを目的に、高速ブロードバンド網の拡大のほか、データ使用量上限の禁止、ネットフリックスなどのサービス事業者との無償ネットワーク相互接続などを合併承認の条件とした。

そのほかのケーブルテレビ事業者による合従連衡の動きとしては、5月3日にFCCが承認した、欧州の電気通信事業者であるアルティスによる米ケーブルテレビ事業者、ケーブルビジョンの買収がある。FCCは、アルティスがケーブルビジョンのブロードバンド網アップグレードへの投資を約束していることなどをあげ、この買収が公益に寄与すると判断した。買収が成立すれば、アルティスは米国第4位のケーブルテレビ事業者となる。

また、4月28日には、米ケーブルテレビ最大手のコムキャストが、映画制作会社であるドリームワークス・アニメーションを買収することを発表した。この買収については、今後、司法省またはFTCが反トラストの観点から審査することになるが、FCCの認可は不要。買収は2016年までに完了する予定で、これにより米ウォルト・ディズニーに匹敵する巨大メディア娯楽企業が誕生する。