[HTML]
H1

詳細ページ

お知らせ表示

2016.05

  • アメリカ
  • 次世代ICT
伝統的な自動車メーカーからの脱却を図る米自動車メーカー

伝統的な米自動車メーカーは、グーグルやアップルなどのIT企業、新興EVメーカーのテスラ・モーターズ、配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズといった異業種からの参入脅威にさらされている。自動車メーカー各社は事業戦略の見直しを迫られる中で、ソフトウェア企業やインターネット企業との提携を加速させている。

◇ハードウェアからソフトウェアへの事業転換を図るフォード
フォード・モーターは2016年5月5日、PaaS向けソフトウェア企業のピボタル・ソフトウェアに1億8,220万ドルを出資すると発表した。ピボタルは2013年4月にEMCとVMware、GEの出資で設立されたEMCのグループ企業。今回の資金調達では、フォードに加えて、マイクロソフトや既存の株主であるEMCとVMware、GEも参加し、総額2億5,300万ドルを調達した。

自動車メーカーの枠を超えて次世代モビリティ分野への進出を図っているフォードは、2016年3月にモビリティサービスの提供や投資を目的とした「フォード・スマート・モビリティ」という子会社を設立した。コネクティビティ、モビリティサービス、自動運転、新たな顧客体験、ビッグデータの5分野においてさらなる発展を目指すとしており、2016年4月にはスマートフォン・アプリ「FordPass」を提供開始している。

また同社は、2016年1月にスマートカーとスマートホーム分野での技術開発でアマゾンと提携した。ユーザは車中から音声認識によるスマートホーム家電の遠隔操作が可能になる。

◇GMが配車サービスLyftとの提携で自動運転の普及拡大
GMとLyftは、5月5日、自動運転機能を搭載した新型電気自動車「シボレー・ボルトEV」による配車サービスの公道テストを1年以内に開始する計画を発表した。自動運転技術の開発で先行するグーグルやテスラ・モーターズ、米配車サービス大手Uberに対抗する。

同社は2016年1月、Lyftへの最大5億ドルの投資計画を発表し、自動運転によるオンデマンド配車サービスのネットワークを共同開発することで合意していた。GMは自動運転車の普及は、配車サービスでの導入を足掛かりに拡大すると見込んでいる。先ずは「レンタル・ハブ」と呼ばれる車両の貸し出し施設を複数の都市に設け、Lyftドライバーに「ボルトEV」を貸し出すことで市場拡大に弾みを付けたい考えだ。

2012年6月に設立されたLyftは現在米国内の約190都市でサービスを展開しているが、ライバルのUber(2009年3月設立)は世界58か国・地域の300都市で展開するなど大きく引き離されている。このためLyftは2015年12月に同業の中国大手Didi Kuaidi、インドのOla、東南アジアのGrabTaxiと戦略的パートナーシップを締結し、Uber包囲網を築いている。Lyftには中国のアリババ、テンセント、日本の楽天といったインターネット企業も出資している。

またGMは、2016年3月には自動運転関連の技術開発を手掛けるCruise Automationを約10億ドルで買収している。

◇クライスラーがグーグルの自動運転のテスト車両を開発
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグーグルは、5月3日、自動運転車の開発で提携すると発表した。FCAはグーグルの自動運転機能を搭載した実験用ミニバンを100台製造する。完成車メーカーが自動運転技術の開発で、グーグルと提携するのは今回が初めてのケースとなる。

グーグルはこれまで自動運転の公道実験に、レクサスを改良した車両とハンドルやアクセルペダル、ブレーキペダルがない人工知能が完全制御する自社設計のプロトタイプを使用していた。FCAは年内に新型クライスラー「パシフィカ ハイブリッド」を100台提供し、グーグルのコンピュータやセンサーなどの自動運転システムを搭載しやすいように設計する。公道テストの自動車の数を2倍に増やし、自動運転技術の開発を加速させる狙いがある。

FCAがグーグルとの提携に踏み切った背景には、同社が自社単独で自動走行車開発を進めるだけのリソースを持っていないことがある。また、グーグルも自動運転車を自社で製造するつもりはないとし、提携する自動車メーカーを探していた。