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2017.03

  • アメリカ
  • 次世代ICT
米運送業界、自動運転やロボット、ドローンの実用化へ

米国でも運送業界の人手不足、長時間労働は深刻な問題となっている。FedExやUPSなど物流大手は、この問題解決手法の一つとして、自動運転やロボット、AI(人口知能)、ドローンといったテクノロジーを配送業務に取り込むために、実証実験を開始している。また、州レベルでは、配達ロボットの法整備が進んでおり、実用化に弾みがつくと期待されている。

◇UPSがドローン配達をテスト
UPSは、2月20日、フロリダ州で配達ドローンの実証実験を行った。今回のテストでは、UPSの配達車両の屋根からドローンが飛び立ち、目的地まで自動飛行し、荷物を落としてから、他の荷物の配達を続けている車両に戻るまでの一連の行程がテストされた。

UPSによると、都市部は人口密度が高く、近辺にある複数の配達経路をまとめることがそれほど難しくないが、ルーラル地域の配達経路は拡散しており、まとめるのが難しく、コストもかかるとのことで、特にルーラル地域でドローン配達を行うことによるコスト削減に期待を寄せていると説明。

また、UPSは、配達サービス以外にも、在庫管理や、輸送機及び配達車の検査などにドローンを使うことを検討しているが、米連邦航空局(FAA)の規則策定がまだ続いていることもあり、ドローンの広範な利用を開始する明確なタイムラインを明らかにしていない。

◇FedExが自動運転やAI、ロボットの導入を検討
FedExは、自動運転やAI、ロボットといった分野への投資を拡大する計画だ。同社のロバート・カーターCIOは「FedExは小規模な地域内での配達に自動運転車両を利用する可能性を検討している」と述べ、運送業界は今後10年以内に自動運転技術を取り入れるだろうとの考えを示した。

FedExは、半自動運転車両の開発でPeloton Technologyと、完全自動運転車両の開発でダイムラーとトラック子会社のFreightliner、ボルボ等と提携している。

またFedExは、AmazonのAI搭載音声アシスタント「Alexa」と統合したアプリも開発。このアプリはスマート端末に、例えば「Alexa、荷物発送の準備を」などと話しかけるだけで、発送の準備を始めることができ、荷物のピックアップから配達の確認まで音声命令で行える。

一方、カーター氏は「ドローンによる荷物配送にはあまり積極的ではない」と語り、重い荷物も扱え、配送距離が長く、帰路に荷物をピックアップすることもできる地上を走るロボットに期待していると語った。

◇自律型配達ロボットの法整備へ
ロンドンに本社を置くStarship Technologiesは、米国で自律型配達ロボットの実証実験を開始した。この配達ロボットは、移動速度が歩行者程度で、配達可能距離は半径およそ2マイル以内。周囲にその存在を知らせる機能を装備している。

同社の配達サービスは、ロボットが配達先に到着すると、メッセージと荷物を格納しているカーゴベイを解錠するリンクが、受取人のスマートフォンに送信される。カーゴベイは、スーパーの買い物袋3つ分ほどの大きさで、約20ポンドまでの荷物が積載可能。配達状況をスマートフォンで追跡することもできる。

米国では、この様な配達ロボットの法整備が州政府レベルで進んでいる。バージニア州では、米国で初めて「電動式パーソナル配達デバイス(Electric Personal Delivery Device)」の公道での使用を認める法案が成立し、今夏より施行を開始する。同様の法案は、アイダホ、フロリダなどいくつかの州も検討されている。

バージニア州の新法では、配達ロボットの定義・規則として、1)歩道、共用道路、横断歩道を移動し、主に財産を輸送することを想定、2)貨物を除いた、重量50ポンド以下、3)最高速度10マイル/時以下、4)人間による操縦・監視の有無に関わらず運用できる技術を搭載することを挙げている。その他の条件として、ロボットの操縦者は16歳以上、ロボットは少なくとも遠隔的に監視されていなければならないとされている。