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2017.06

  • アメリカ
  • 次世代ICT
様々な分野への応用が図られるブロックチェーン

ビットコインの基盤技術として使われているブロックチェーン技術は、今はまだ知名度が低いが、広く普及すれば世界を大きく変えるほどの力を持つと期待されている。

金融機関はこの技術の導入にいち早く乗り出しているが、その応用範囲は決して金融業界だけに留まるものではなく、ロジスティクスや交通、医療など様々な分野で実証実験などの取り組みが活発に行われている。ここでは、いくつかの例を紹介する。

◇ウォルマートがブロックチェーンをドローン配達に応用
米国小売り大手のウォルマートが、ブロックチェーンとドローンを活用した配達管理システムに関する特許を出願した。米特許商標庁(USPTO)が明らかにした。消費者へのラストマイルをロボット技術やセンサー、ブロックチェーン技術によって改善することが目標とされている。

ウォルマートが出願した特許は、「安全な場所への無人機輸送」と題されており、配達ドローンのロジスティクスを自動化するプロセスが説明されている。それによると、宅配ボックスに近付いたドローンは一種の暗号鍵である「ブロックチェーン識別子」を用いて自らの認証を行い、確認が取れれば宅配ボックスが開き、荷物を受け取る仕組みとなっている。また、荷物が到着すると通知が顧客のモバイル端末に送信されるという。

ブロックチェーン技術は、ドローンの認証だけでなく、小包の配送状況追跡などにも使われる。例えば、ブロックチェーン・ベースのデータベースは発送日時や場所、担当者名、配達日、温度、受取手続きといったデータを改ざん困難なフォーマットで保管しておくことができる。

ウォルマートは、以前よりブロックチェーン技術の応用に取り組んでおり、2016年10月にはIBMと協力して、中国で豚肉の配送追跡にブロックチェーン技術を使う計画を発表している。

◇トヨタとMITメディアラボ、自動走行技術開発に応用
トヨタ・リサーチ・インスティテュートは2017年5月、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボや他5社と、自動走行技術開発へのブロックチェーン技術応用を共同研究していくと発表した。

トヨタによると、このプロジェクトは、企業・消費者が自動走行車の試験や走行についてのデータの安全な共有や、自動走行車の共用を可能にすることが目的。また、車両に搭載されたセンサーから運転データを収集し、ブロックチェーンで保管することで保険料の設定に役立てることも考えている。

◇米国保健福祉省、医療分野への応用を検討
米国保健福祉省(HHS)は、ブロックチェーン技術の医療分野への応用を検討している。ブロックチェーンは、発生した取引を事後に改変できない点が特長の1つで、医療分野では、患者と複数の医療機関のやり取りを記録し、一元的に管理できるようになると見込まれている。

HHSの医療IT全国連絡室(ONC)は、ブロックチェーンを推進する団体「チャンバー・オブ・デジタルコマース」とともに、ブロックチェーンをベースにした医療分野向け製品の開発を競うコンテスト「Code-a-Thon」を2017年3月に開催した。

コンテストの結果、病院が医療画像を他の医療機関と共有できるシステムや、患者側から簡単に医療記録を医療機関に伝送できるアプリなどが受賞している。

◇米国郵便庁(USPS)がブロックチェーン採用を検討
米国郵便庁(USPS)は2016年5月、コンサルティング会社のスイス・エコミクスの協力を得て、郵便サービスにブロックチェーン技術の採用を検討する報告書を発表した。この中で、USPSは同技術を応用できる4つの方向(金融サービス、デバイス管理、IDサービス、サプライチェーン・マネジメント)を示している。

金融サービスでは、USPSがブロックチェーン技術で自らビットコインのような電子通貨を作る可能性を示唆した。ここでは、「Postcoin」と呼ばれる仮想通貨が銀行口座を持たない層の世界的な決済サービスとなり得るとしている。

ブロックチェーン技術とIoTを組み合わせたデバイス管理を提案。例えば、配達車両のパーツ消耗度監視・消耗パーツの交換と支払いまでを全て自動化するといったことが想定できる。

ブロックチェーンによる身元確認を郵便物の追跡に応用することも提案。これにより迅速な通関を促し、決済・ロジスティクス・発送を全て1つのプラットフォームに統合することができるとしている。