国際電気通信連合(ITU)が2014年5月に発行した「The World in 2014 ICT Facts and Figures」によれば、2014年の世界のモバイルブロードバンド加入者は、最近3年間で約2倍に延び、23億に達すると推定される。また、加入者全体に占める発展途上国の住民の割合は、2011年の40%から55%に増加するとされている。
発展途上国の多くは有線インフラの敷設が十分でなく、通信手段の中心がモバイルである。実際、ITUによる2014年末推計では、モバイルサービス全体の加入者69億のうち、途上国の住民が78%を占め、アフリカ以外の地域の普及率がほぼ90%(アフリカは69%)に達するとされている。しかしながら、モバイルブロードバンドに関する推計では、対応契約加入者数23億のうち、途上国住民の占める割合は45%で、下図に見るとおり、地域による普及格差はなお大きいとされている。
世界地域別モバイルBB普及率(2014年末推計)
出所: ITU「The World in 2014 ICT Facts and Figures」
発展途上国でモバイルブロードバンドの普及を妨げる主要因として、住民の平均収入に対し、ネット接続料が非常に高額であることが挙げられる。世界各地の通信事業者が提供しているモバイルブロードバンドサービス条件は、どの国でも大きな格差はなく、接続料も途上国で特に高いとはいえない。しかしながら、例えばアフリカ諸国では、国によって1GB当たりのデータ使用料が、平均月収の10%~30%に占めることもあり、料金の相対的な高さから、インターネット接続つき契約を避ける人々が多いと考えられる。
(参考)各国住民の平均年収(2013年)と代表的通信事業者の接続料*
国名 |
GDP per Capita(US$) |
順位 |
代表的通信事業者 |
モバイル通信料/分(US$) |
ネット接続料 |
米国 |
53,101 |
6 |
Verizon |
0.01 |
20US$/1GB |
UAE |
43,875 |
19 |
Etisalat |
0.13 |
27US$/1GB |
英国 |
39,567 |
23 |
Vodafone |
0.1 |
17US$/1GB |
日本 |
38,491 |
24 |
NTT Docomo |
0.15~0.4 |
47US$/3GB |
ロシア |
14,818 |
50 |
MTS |
1.8 |
18US$/80GB |
ブラジル |
11,310 |
61 |
Vivo |
0.5 |
16US$/1GB |
世界平均 |
10,486 |
- |
|
インド |
1,504 |
140 |
Bharti Airtel |
0.025 |
0.025US$/10kB |
コンゴ民主共和国 |
397 |
180 |
Vodacom |
0.1 |
20US$/1GB |
*ポストペイ契約の標準的なプランのもの
出所: IMF及び各社サイト