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2024.04

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ロイヤルメールのバーコード付き切手転換に浮上した問題
ロイヤルメールでは、2022年2月1日、国王の肖像を利用している普通切手(Definitive stamp)等をバーコードの追加されたものに切り替えることを発表した。


ロイヤルメールは、バーコードの無い該当の普通切手を廃止する期限を設定し、最終的に2023年7月31日までに使い切るか、もしくはロイヤルメールの提供するバーコード付き切手への無料交換制度を利用するよう促した(無料交換制度は2022年3月31日から実施されており、現在のところ交換期限は設けられていない)。なお、記念切手やバーコード無しのクリスマス切手は引き続き使用でき、この変更の影響は受けない。


英国では、偽造切手を使用した場合、受取人に課徴金(現在は5ポンド)が科せられるが、2023年7月に切手をバーコード付きに切り替えて以降、ロイヤルメールが偽造品とみなした切手が貼られた書状を受け取り、不当に罰金を科せられたという訴えが頻発している。これらの事件のほとんどは、新しいバーコード付き切手が引き起こしている。


ロイヤルメールの交換制度を利用して、郵便局から入手した切手が偽造品とみなされたという事例に対し、郵便局長たちは「偽造されたとされる切手はロイヤルメールから直接購入したものだ」と述べており、「誤って偽物とみなされているのではないか」との懸念を強めた。


ロイヤルメールは当初、郵便局が提供する切手は、(交換制度に関わらず)印刷から流通に関して、安全かつ堅牢な管理されたプロセスを採用しているとして、郵便局長や職員への疑念も表明していたが、2024年4月に調査を行い、自社の機械が本物の切手を偽物と間違える可能性があることを認めた。ロイヤルメールは、同社の対応として、「郵便物が処理施設に到着するとバーコードのスキャンが行われ、疑いがあれば、その郵便物は隔離されて、収益保護担当者による専門的な器具を使った検査が行われる」と説明した。


一方、実際の偽造バーコード付き切手について、卸売業者から大量に調達できる小規模小売業者によって知らずに購入されているという指摘もある。この偽造切手の場合、AmazonやeBayなどのオンライン小売大手や、ロイヤルメールの公式ストアを模倣したWebサイトでも販売されている。


公式切手は値引きされることはないが、テレグラフ社の調査によると、中国の大手サプライヤー4社が、ロイヤルメールの偽造切手を1週間に最大100万枚、わずか4ペンスで印刷し、数日以内に英国に配送すると申し出ていることが判明したという。


ロイヤルメールは、英国でのみ売買できる本物の切手のシートが中国に送られ、そこで繰り返しコピーされて大量の偽造品が製造され、その後、偽造品が英国に送られ、小売店や消費者に販売されているのではないかと述べたが、ロンドンの中国大使館の報道官は、これらの主張を否定している。


ロイヤルメールは、バーコード付き切手を導入した理由として、ビデオやメッセージなど多くの情報が見られる新サービスの追加や、郵便不正を減らす方法であることを上げているが、今回、セキュリティ効果を期待したバーコード付き切手への転換に合わせて、皮肉な状況が生み出されている