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2023.09

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TikTokショップを巡る状況:米国、インドネシア、英国
TikTok(ティックトック)は、日本でも人気の中国系動画投稿アプリだが、同アプリにはTikTokショップ(抖音電商)という電子商取引(EC)サービスが搭載されている。この機能は現在、日本では実装されていないが、海外では東南アジア諸国に続き、最近、英国や米国で開始(もしくは再始動)された。

2016年9月、中国本土でバイトダンス社(Bytedance(字節跳動)社)による動画投稿アプリ「Douyin(抖音)」がリリースされた。TikTokは、Douyinの海外版であり、2017年リリースされ、日本でもサービスの提供が開始された。

TikTokは、個人情報流出のリスクが懸念されており、2019年12月、米国政府は陸軍、海軍、空軍、海兵隊と沿岸警備隊に対して、政府支給の端末でのTikTokの使用を禁止。2020年2月、運輸保安庁(TSA)の職員に対してもTikTokの使用を禁止した。中国政府は、対抗措置として、2020年9月、国内企業の権利を害する外国企業などを「信頼できない実体」としてエンティティ・リスト化し、取引を制限・禁止する制度を発表して即日施行した。米国政府は2021年6月、TikTokを禁止するトランプ前政権の大統領令を撤回したものの、2023年2月、機密情報の保護を理由に連邦政府職員に対し、政府支給の携帯電話などからTikTokを削除すると発表。さらに3月1日には、アメリカ議会下院外交委員会で、米国内でTikTokの利用を禁じる法案が賛成多数で可決された。(なお、一般利用を禁止する州法が成立したのは2023年5月17日のモンタナ州が初めてで、2024年1月1日施行予定。現在、運営会社や利用者が提訴している。)また、2023年、EU、ベルギー、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでも政府支給端末や政府関連端末での同アプリの利用が禁止された。

一方、民間でのTikTokアプリは若年層を中心に米国でも人気が高い。バイトダンス社は、東南アジア諸国で成功しているTikTokショップ機能を、2022年11月に米国でも試験導入し、2023年9月、正式に開始した。

中国国内での、このECサービス「Douyin EC(抖音電商)」は2020年に開始、EC市場に参入した。越境ECのTikTokショップ(抖音全球购:Douyin Global EC)は、2021年2月、インドネシアで開始され、2022年にはタイ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、シンガポールでも運用を開始し、東南アジアで拡大している。

東南アジア諸国では盛況のTikTokショップであるが、インドネシアでは最近、協同組合・中小企業省が、電子商取引(EC)と交流サイト(SNS)を組み合わせた「ソーシャルコマース」を通じた越境ECから国内の中小零細企業を保護することや、TikTokショップをSNSから分離することを求めている。一方、事業競争監視委員会(KPPU)は、SNSはECサービスの機能の一部に過ぎないとし、見解が割れているという。越境ECからの国内製品の保護に関しては、具体的な対策が検討されている。

2021年末からテスト運用を開始した英国のTikTokショップは、上手くいかず一時撤回されていたが(この事例により、米国の開始が躊躇された)、2023年8月にオランダのChannelEngine社と提携し、新たなフルフィルメントサービス「Fulfilled by TikTok(FBT)」を英国で開始した。