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2023.07

  • デンマーク
  • 郵便・物流
デンマーク、郵便のユニバーサルサービス義務の廃止を計画
デンマークで、2023年6月28日付「2024年1月1日からの郵便部門の将来の体制の法案に関する合意協定」について、政府と各党が政治的合意に達した。

それまで、デンマークで、郵便における政府と各党が政治的合意といえば、2011年の郵便市場自由化の際に、今後のユニバーサルサービスを維持するために締結し、ポストノルド・デンマークが2011-2013年のユニバーサルサービス事業者に指定された「自由化された郵便市場におけるユニバーサルサービスに関する合意」があった(2010年)。これは、その後、2013年に新たな合意が2014-2016年まで結ばれ、最新のものは、2017-2019年のものが2016年5月3日付けで結ばれたが、続く新たな合意は2019年末までに成立しなかった。そこで政府は、既存契約の再延長を繰返し、2021年5月31日の再契約延長により、ポストノルド・デンマークが2023年末まで郵便配達業務を継続している。

しかし、デンマークの郵便市場の急激な変化に合わせ、最近の改正郵便法(2023年4月27日付 461号)では、それまで明記されていた「国が指定するユニバーサルサービス事業者」としての「ポストノルド・デンマーク」の記載が削除された。ただし、この郵便法でも、ユニバーサルサービス義務の条項は存在している。

今回の「2024年1月1日からの郵便部門の将来の体制の法案に関する合意」では、「郵便市場の今後を反映し、政府の規制が必要な地域での国民サービスを変わりなく確保する」ために「全国規模の郵便サービスの提供を市場に委ねる」ことを目的とし、その内容として「ユニバーサルサービス義務は廃止」、「3つの特別な郵便サービス(島嶼向け郵便、視覚障碍者向け郵便、国際郵便)については、国がサービス確保を保証する」等があげられている(なお、3つの特別な郵便サービスに関しては、入札により事業者を確保する予定だが、完了するまでは暫定的にポストノルド・デンマークに委託することも求められている)。

これを受けて7月7日、民間航空・鉄道庁は郵便法を改正する法律案を諮問のために提出した。諮問期間は8月20日までで、10月20日には議会で採決にかけられ、早ければ2024年1月1日に発効の予定。実現すれば、ポストノルド・デンマークとの現在の契約は今年末に終了する。

ただ、最近の報道によると、ポストノルド・デンマークの配達義務が2024年初めまでに失効した際に、デンマークの郵便市場に参入に関心を持つ企業は1社のみという。