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2020.12

  • 韓国
  • 放送・メディア
Netflix対抗で国内OTT業界を国が支援
韓流コンテンツで映像コンテンツの国際展開に成功している韓国だが、国内映像メディア分野は急成長するNetflixへの危機感を強めている。韓国で現在進行中の有料メディア市場再編もメディア産業促進戦略も新技術への対応だけでなく、対Netflixを意識した動きである。

2020年初めのコロナ巣ごもり期間中に急成長したNetflixが、9月には韓国内のOTTサービスとして有料会員数最多の330万となった。韓国放送メディア市場は、90%以上の世帯が有料放送に加入する。有料放送の主役は、ケーブルテレビから通信キャリア3社(SKテレコム、KT、LG U+)のIPTVに交代しており、2019年以降、通信キャリアが大手ケーブルテレビの買収を次々と進めているところ。放送サービスで大きな影響力を持ってきた地上波は広告収入減少に歯止めがかからず、2019年には放送事業売上でIPTVが初めて地上波を逆転。

現在放送メディア市場で力を付けたのは、メディアプラットフォームとしてのIPTVと、有料放送にチャンネルごとコンテンツを提供するCJ ENM等の大手チャンネルプロバイダーである。

通信キャリアは5G時代を見据えてOTT事業にも力を入れる。キャリア3社は独自のOTTサービスを提供するが、Netflix対抗のためSKテレコムと地上波3社は独自のOTTを2019年秋に統合再編している。コンテンツホルダー最大手のCJ ENMもOTT事業部門Tvingを2020年秋に分社して、総合編成チャンネルJTBCとのOTT合弁設立を計画中。

2020年6月に発表された政府の総合メディア産業支援戦略では、今回初めてOTTが支援対象に含まれた。政府は複数省庁に分散したOTT関連政策の調整と協力強化のため、青瓦台科学技術補佐官を中心に関連省庁のハイレベルで構成するOTT政策協議会を9月に立ち上げた。OTT支援のための政府ファンドも2021年初めに設定される。

韓国は有料放送料金水準が安いことと、これまでOTTのコンテンツがテレビ放送との差別化が不十分だったため、OTTの影響力は大きくなかった。しかしながら、韓国ではOTTが将来的に最も成長余地のあるプラットフォームという見方で一致している。Netflixに続き、国内主力OTTも最近オリジナルコンテンツ拡大に力を入れだした。韓国映像メディアサービス市場での加入型OTTサービスの今後が注目される。