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2020.06

  • イギリス
  • スマート社会
ボーダフォンによるがん研究開発アプリ「ドリームラボ」の開発動向
世界的に、健康管理・医療・介護分野において、モバイルアプリの開発・導入が進展しているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の接触感染アプリの普及により、ますます注目度が集まっている。

携帯電話の世界的大手のボーダフォンは、かねてより、がん研究開発アプリ「ドリームラボアプリ(DreamLab app)」の開発・支援を進めてきたが、2020年6月19日、同アプリのDRUGS研究プロジェクトのフェーズ3が完了したことを発表した。同プロジェクトでは、既存の薬剤の組み合わせが特定の形態のがん治療に優れているかどうかが検討された。

同アプリは、ボーダフォン財団が資金を提供し、インペリアルカレッジロンドンと共同開発したもので、人々のスマートフォンを利用し、がん研究を支援するもの。毎晩、人々がスマートフォンを充電しつつ、ドリームラボのアプリを起動することで、寝ている間に、これらのスマートフォンの処理能力が合わさり、仮想のスーパーコンピューターとして、科学的データを高速処理するようになっている。

インペリアルカレッジロンドンの研究者は、夜間に充電される数万台のスマートフォンの集合的なコンピューティング能力を利用することにより、最適な薬物の組み合わせを探すために大量の科学データを調査することができたとした。

今回のDRUGSフェーズ3は、薬と食品の抗がん性をそれぞれ検討するDRUGSの1、2フェーズに続くものとなっている。これまでのフェーズでは、オレンジ、キャベツ、ブドウなどの日常の食品には何百もの抗がん分子が存在することが特定され、がん治療以外の目的に設計された二つの既存の薬物にも抗がんの性質があることが明らかになっている。

今後のDRUGSの動きとして、DRUGSプロジェクトのフェーズ4では、複数の種類の食品からの分子の組み合わせが、単一の食品だけよりも治療としてより効果的であるかどうかを調べ、フェーズ5では、他の疾患や植物分子に対する既存の薬剤の抗がん剤の可能性を調べる。最終的には、薬物と食物分子を一緒に組み合わせることががん治療に有効かどうかを調査するとしている。

ボーダフォンは、先進的な調査に貢献したい場合は、「ドリームラボ」をダウンロードするように呼び掛けている。なお、「ドリームラボ」アプリは、「Corona-AIプロジェクト」も立ち上げており、食品や薬物を使用して、COVID-19の治療法を調査している。