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2020.01

  • マレーシア
  • 電波関連
規制機関MCMC、5G用周波数割当方針を決定
マレーシア通信マルチメディア委員会(Malaysian Communications and Multimedia Commission:MCMA)は、2019年12月31日に、5G用の周波数の割当て方針を定めた最終報告書「Final Report - Allocation of spectrum bands for mobile broadband service in Malaysia」(注1)を公表し、700MHz帯、3.5GHz帯、26/28GHz帯を5Gのパイオニア帯域として割り当てることを決定した。

MCMCは、5Gなど無線ブロードバンドへの周波数割当の目的として、以下の4点を挙げている。また、「国家5Gタスクフォース」(2018年11月設置)において検討されてきた国内5G戦略や、2019年7月~8月にMCMCが実施したパブリックコンサルテーションで寄せられた企業・団体・個人のコメント(15件)の検討を経て、割当対象帯域及び割当て方法の最終決定に至ったことを、同報告書において述べている。
 
・価値の創出:
‒ 産業界、免許人の間で新たな価値の創出を促す。
‒ 小規模な免許人を含めたモバイルサービス事業者・ネットワーク設備事業者間のエコシステムを形成し、また、全国/地域/ローカルの各レベルでの5Gサービスを実施する。
・消費者保護:
‒ 競争を強化すると同時に消費者保護を確保する。
‒ 事業者間の共存とサービスの相互運用に関する環境を創出する。
・コスト効率化:
‒ コストの効率化を計り、過去に行った投資の最適化のため、既存の資産の高度利用を図る。
‒ インフラ敷設の重複を最小限にする。
‒ 可能な限り複数事業者によるインフラ共有を図る。
・イノベーションの推進:
‒ 5Gにおいて、スマートフォンや固定無線アクセス(FWA)を越える利用形態の高度化を図る。(従来の産業や競争モデルの転換や5G専用の先端研究開発拠点(Centre of Excellence)の設置など)
‒ 都市地域、近郊地域、ルーラル地域における光ファイバーを補完する高度な固定接続手段として5Gを利用する。

2020年第3四半期からの5Gの商用サービス開始が目指されており、経済効果は、マレーシア経済研究所(Malaysian Institute of Economic Research:MIER)の試算によると、2021~2025年で127億リンギ、新規雇用は3万9,000人が見込まれている(注2)。セルコム・アシアタ(Celcom Axiata)、ディジ・テレコム(Digi Telecommunications)、マキシス(Maxis Broadband)、Uモバイル(U Mobile)、YTL(YTL Communications)などの通信事業者も、国内各地で5Gのデモンストレーションを実施しており、商用化へ向けた周波数割当の開始が待たれていた。

今回決定された割当て方法は、①700MHz帯と3.5GHz帯、②26/28GHz帯で異なる方法が採用されている。また、これら以外の帯域では、2300MHz帯‐2600MHz帯の割当てが、2021年の実施が検討されることになっている。

①700MHz帯と3.5GHz帯(3.4GHz‐3.6GHz)
•700MHz帯の30MHz幅×2、3.5GHz帯の100MHz幅を1パッケージにして割り当てる。
•割当事業者は、個々の通信事業者ではなく、免許を有する複数の通信事業者で構成されるコンソーシアム(1社)とする。これにより、ネットワーク敷設コスト及び通信インフラの事業者間の重複を避け、各事業者の資本支出を抑制する。
•割当手続きは、比較審査方式(beauty contest)方式を採用する。比較審査は2020年第1四半期に開始する。
•残りの帯域については、今回の割当て終了後に、追加割当てを検討する。


②26/28GHz帯(24.9GHz‐28.1GHz)
24.9‐26.5GHz帯と26.5‐28.1GHz帯に分け、以下の二つの手法により割当てを行う。
•24.9‐26.5GHz帯
‒ 1600MHz幅を四つの周波数ブロック(1ブロック400MHz幅)に分割する。各周波数ブロックを、全国ベースで割り当てる。
‒ 割当手続きは、比較審査(beauty contest)方式を採用する。比較審査は2020年第1四半期に開始する。
•26.5-28.1GHz帯:
‒ 1600MHz幅を四つの周波数ブロック(1ブロック400MHz幅)に分割し、先願ベース(first-com first-served)で周波数を割り当てる。申請時期は別途通知する。
‒ ローカルネットワーク、民間ネットワークの構築を図るため、割当の対象は、通信事業者に限らず、民間企業、公共団体などにも周波数を開放する。ヘルスケア、港湾、交通、製造、農業、公共安全、スマートシティ等の幅広い分野における5Gの活用を促す。
‒ 24.9‐26.5GHz帯の割当てを受けた事業者は、26.5‐28.1GHz帯の割当てを受けることはできない。

(注1)https://www.mcmc.gov.my/skmmgovmy/media/General/pdf/FINAL-REPORT_ALLOCATION-OF-SPECTRUM-BANDS-FOR-MOBILE-BROADBAND-SERVICE-IN-MALAYSIA_20191231.pdf

(注2)
MCMC 'Press Release: Commercialisation Of 5G Redefines Connectivity In Malaysia  09 JAN 2020'(https://www.mcmc.gov.my/en/media/press-releases/commercialisation-of-5g-redefines-connectivity-in